健康食品を科学的に考察する情報サイト

サン・クロレラ 研究サイトSUNCHLORELLA LAB

健康食品を科学的に考察する情報サイト

世界の最新健康ニュース

時々の健康にかかわるニュースや最新の話題をお届けします。

世界の最新健康ニュース

公開日:2024-04-22

CBD製品は慢性的な痛みを緩和せず有害の可能性すらある

世界の最新健康・栄養ニュース

CBD(カンナビジオール)製品が慢性の痛みを抑えるという証拠は存在せず、その使用はお金の無駄遣いであり、健康に有害である可能性すらあるようだ、という英国バース大学の研究結果が発表された。

CBDは、大麻に含まれる多くの天然成分のひとつである。巷では、CBDには鎮痛・鎮静作用があり、深いリラックス感が得られるので、慢性的なストレスや痛みの緩和に有効であると宣伝されており、オイル、チンキ、ベイプ、局所クリーム、健康食品(グミ、ソフトドリンク)など様々な形態の製品が販売されている。

だが、今回の研究結果によれば、消費者はこれらのCBD製品には近寄らないほうが良さそうである。

「CBDは、消費者に大きな問題を起こしています」と主任研究者のクリス・エクレストン教授は述べている。「どんな痛みにも有効であると宣伝されていますが、なんらかのポジティブな効果があったという質の高いエビデンスが完璧に欠落しています。」

研究チームは、2023年までに科学雑誌に発表された、痛みに対するCBDの有効性を検証した論文を、網羅的に検索した結果、最も信頼性の高いとされるランダム化プラセボ対照臨床試験(RCT)が16件見つかった。だが、そのうち15件で、CBDには、プラセボと同じ効果しか見られないことが実証されていた。

研究チームが発見した主な結果は以下の通りであった。

・消費者向けに直接販売されるCBD製品には、CBDが文字通り全く含まれないものから明らかに過剰なものまでさまざまであった。

・消費者向けに直接販売されるCBD製品には、CBD以外の成分を含むものがあり、その中には有害な物質や違法な物質、たとえば大麻の主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)などもあった。

・医薬品グレードのCBDを用いて鎮痛効果を調べた16件のランダム化対照試験のうち、15件では効果が見られず、CBDは痛みの緩和に対してプラセボ以上の有効性を示さなかった。

・メタ分析により、複数の論文からデータを抽出してより高次の解析を行った結果、CBDの使用が深刻な副作用(例えば、肝毒性)の発生率を高めることが明らかになった。

「医療規制当局は一部のCBD製品メーカーによる偽りの主張に対して行動することに消極的であるようです。おそらく彼らは、特に販売されている製品が無害であると広くみなされている場合、急成長する市場に介入したくないからでしょう」と研究者はコメントしている。

世界のCBD製品市場は2021年に30億ドルと推定され、2030年には60億ドルに達するとみられる。

出典は『Journal of Pain

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
関連記事
  • Google Bookmarks Google Bookmarks
  • はてなブックマーク はてなブックマーク