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公開日:2022-01-28

ストレスフルな日常が心臓病のリスクを高める?

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離婚や失業に伴う強いストレスは、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める要因でもあるようだ、というスウェーデン・ヨーテボリ大学が主導した国際共同研究の成果が発表された。

『JAMAネットワークオープン』誌に発表されたこの研究は、豊かな国から貧しい国まで世界21か国から118,706人の参加者のデータを集めて解析したものである。5か国は低所得国、12か国は中所得国、4か国は高所得国であり、調査開始時の参加者の年齢は35-70歳(平均年齢50歳)だった。

参加者は最初に、過去1年のストレスについて尋ねられた。ここで「ストレス」とは、家庭や職場のトラブル、財政困難、その他さまざまな出来事に起因する神経過敏、イライラ、不安と定義された。出来事の例としては、離婚、失業、近親者の死や重病などが挙げられた。ストレスの強さは、0(ストレスなし)から3(重度のストレス)までの4段階で点数付けしてもらった。

参加者の7.3%が過去1年に重度のストレスを経験したと答えた。また、18.3%が中程度のストレスを、29.4%が軽度のストレスを経験したと答えた。44%の者がストレスはなかったと答えた。重度のストレスがあったと答えた者は、そうでない者に比べて、平均して年齢がわずかに若く、喫煙や腹部肥満といった心血管系のリスク因子をより多くもっていた。また高所得国に多い傾向があった。

参加者は、2021年3月まで平均10年間追跡調査された。この間に、5,934名が心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管系疾患を発症した。

研究チームが、統計的手法を用いて、ストレスの影響のみを抽出した結果、高いストレスを経験した者は、低いストレスレベルだった者に比べて、心血管系疾患の発症リスクが22%高く、特に心筋梗塞は24%、脳卒中は30%高かったことが明らかになった。

この研究結果は、ストレスと心血管系疾患の関係を調べた先行研究の結果と一致するものであるが、以前の研究と違い、疾患の発症前にストレスレベルを評価したという特徴がある。先行研究では、すでに心筋梗塞や脳卒中を起こした患者に、ストレスの経験を尋ねるものが多く、それは回答に影響をおよぼした可能性がある。

本研究は、PURE研究という大規模前向きコホート研究のデータを解析したものである。研究の性質として、ストレスがより急激な影響をおよぼしているのか、それとも慢性的に影響しているのか、あるいはまた豊かな国と貧しい国での違いがあるのか、といった質問に答えることはできない。けれども、本研究のメリットは、ストレスが高所得の西洋諸国に限られないリスク因子のひとつである可能性を調査できたことだという。

「重度のストレスを抱える人々の間で、心血管系疾患のリスクが高まる原因は厳密には明らかになっていません。けれども、体内では、動脈硬化や血栓といった多くの病的過程が進行していて、ストレスはそこに影響をおよぼすと考えられます」とヨーテボリ大学のアニカ・ローゼングレン教授は述べている。

「もし世界的に心血管系疾患のリスクを減少させたいと望むのであれば、私たちはストレスを、肥満や喫煙とは別の独立したリスク因子として考慮する必要があります。」

PURE研究には、世界26か国20万人の参加者がおり、現在も追跡調査が続けられている。

「ストレスの心血管系疾患へのインパクトは、昔から予想されていたものです。ストレスを減らすための取り組みは、心血管系疾患を減らすための可能性を秘めていると思います」と主任研究者でカナダ・マクマスター大学のサリーム・ユーサフ教授はコメントしている。

出典は『JAMAネットワークオープン

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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