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公開日:2023-11-15

フライドポテトが止まらない:「終末糖化産物(AGE)」の魅力とは

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おいしくて高カロリーな調理・加工食品に多量に含まれる「終末糖化産物(AGE)」と呼ばれる化学物質が、食欲を高め、健康的な食品選択を妨げる一因となっているメカニズムを初めて明らかにした、という米国バック加齢研究所の研究結果が『eLife』誌に発表された。

「この研究は、線虫を使っておこなわれたものですが、人間が特定の食品を選択し、それを大量に食べた場合に起きる計り知れない影響を明らかにするものです」と主任研究者のパンカジ・カパヒ教授は述べている。「AGEが多量に含まれる加工食品は、私たちの食欲を高めますが、疲れやすさや老化の原因になるともいわれています。でも、実際にそれが長期にわたって私たちの健康にどのように影響するかはほとんどわかっていません。」

「人類は、食べ物が豊富に存在するときにそれをできるだけ多く食べるよう促すある種のメカニズムを進化させてきました。私たちは摂取した過剰なカロリーを脂肪の形で体内に蓄積し、飢饉の時にそれを使って生き延びることができます」と筆頭研究者のムニエシュ・ムタイヤン・シャンムガム博士は述べている。「自然選択によって、私たちは風味豊かな、とりわけ糖分を多量に含む食品を優先的に消費する遺伝子を発達させてきました。私たちを抗いがたくさせるそのメカニズムの中心にあるのがAGEです。」

AGEは、糖分がたんぱく質、脂質、核酸の一部と結合(糖化)した代謝産物の一種である。AGEは、我々が細胞内で糖を代謝するときに自然に生成されるものだが、多くの加工食品の製造過程において食品を焼いたり揚げたりするときにも生成する。「調理によって食品が茶色くなることは、食品に好ましい見た目と香りをもたらしますが、これはAGEが生成するためなのです」とシャンムガム博士は述べている。「基本的に、AGEによって食品はより食欲をそそるものとなり、私たちはそれに抵抗するのが困難になるのです。」

加熱によって糖分がたんぱく質と相互作用するときに発生する「ブラウニング(褐変)」反応は、正式にはメイラード反応と呼ばれるものであり、そこでは、数百から数千の魅力的なAGE物質が形成される。

だが、メイラード反応は確かに食べ物の味をおいしくするのだが、結果として生じる化学物質は体内にあらゆる種類の混乱を引き起こす元となる。それは、身体に炎症や酸化損傷を起こし、その結果、疲れやすくなり、動脈硬化、高血圧、腎損傷、がん、神経症状の発生に寄与する。この化学物質が臓器に蓄積することが、おそらく様々な臓器や生物全体の加齢の主な要因のひとつである、とカパヒ教授は述べている。

「いったん終末糖化産物が形成されてしまうと、それらは取り除くことが困難になります」とシャンムガム博士は言う。トーストによって白パンは茶色くなるが、それを再び白くすることは不可能である。「同様に、出来てしまったAGEを元に戻す方法はありません。さらに、齢をとると、AGEを体内から除去する能力も衰えてくるので、それがまた別の加齢の原因となってしまうのです。」

小さな線虫でさえ、AGEの誘惑と被害から逃れることはできなかったという。研究者らは、AGEが病気をおこし、寿命を縮めるだけでなく、線虫の食欲すら増加させることを観察した。そこで、研究者らは、AGEのいったいなにが線虫の過食を引き起こしているのか、そのメカニズムを明らかにしようとした。

正常で健康な線虫に過食を引き起こす生化学的信号経路を明らかにするために、研究者らはよく知られたAGEのいくつかを純粋な形で分離して線虫に食べさせた結果、そのうちの2種類のAGEに過食を引き起こす作用のあることを発見した。さらにそのうちの1つ(MG-H1)について検討を重ねた結果、それがチラミン依存性経路という生化学的信号経路を通じて過食を引き起こしていることが判明したという。

本研究は、AGEのひとつが、特定の生化学的信号経路を通じて線虫の過食と神経変性を引き起こすことを世界で初めて明らかにしたものである。研究者らはまたAGEを代謝する方法を持たない遺伝子変異をもつ線虫は、寿命が約25〜30パーセント短いことも発見した。研究者らは現在、AGEと脂肪代謝の関係について調べているという。

「この生化学的信号経路を理解することは、現代のAGEが多い食生活による過食を理解するのに役立つかもしれません」とカパヒ教授は述べている。「私たちの研究は、AGEの蓄積が肥満や神経変性などの疾患に関与していることを明らかにしています。私たちは全体として、AGEの蓄積を制限することが、肥満やその他の加齢に関連する病気の世界的な増加に関連していると考えています。」

「私たちの食物摂取量は、私たちの意志ではなく食品によってコントロールされているのです」とシャンムガム博士は述べている。

出典は『eLife

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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