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公開日:2020-01-27

超加工食品の食べ過ぎは2型糖尿病のリスクを高める?

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超加工食品の摂取が多い人は、2型糖尿病の発症リスクが高いことが、フランス・パリ13大学などの研究によって明らかになった。結果は『JAMA内科学』誌に発表された。

超加工食品は、日本でも欧米でも広く普及している。いくつもの研究からあらゆる死亡のリスクと、がん、心血管疾患、高血圧、胃脂質異常症など生活習慣病のリスクを高めることが報告されているが、糖尿病との関連についてはかならずしもハッキリしていなかったという。

そこで、今回研究チームは、超加工食品の摂取が2型糖尿病の発症に及ぼす影響について調べるために、フランス人を対象とした大規模疫学研究のデータを解析した。

超加工食品とは、防腐剤や着色料、乳化剤などを含む加工食品や加糖飲料のことである。スナック類や菓子類のほか、調理済みの肉や魚、ハムやソーセージ、インスタント食品なども含まれる。

本研究では、「フランス栄養ネット-健康(French NutriNet-Sante)」という大規模コホート研究の18歳以上の参加者104,707人を対象に2009年から2019年までのデータが使用された。

食事調査は、24時間食事記録法によって繰り返し(1人あたり平均5.7回)行われた。対象者が日常的に摂取する3,500品目以上の食品が、加工度に基づくNOVA分類システムによってカテゴリ分けされてデータベースに登録されてあり、これを用いて、各人のカテゴリ別の摂取量が計算された。

そして統計解析モデルを用いて、超加工食品の摂取と2型糖尿病の発症リスクの関連が解析された。その際、既知のリスク因子(性、年齢、身長、体重、学歴、経済状態、生活習慣、既往歴、種々の栄養因子)の影響が調整(除外)された。

参加者のうち82,907人(79.2%)が女性であり、全員の平均年齢は42.7歳だった。追跡期間中に821名が2型糖尿病と診断された。

データ解析の結果、超加工食品の摂取量が最も少なかったグループと最も多かったグループの2型糖尿病の発症者数は、年間10万人あたり各々、113人と166人だった。

既知のリスク因子を調整すると、超加工食品の摂取が10%高まるごとに、平均6年間の追跡期間中の2型糖尿病の発症リスクが15%高まることが明らかになった。これらの結果は、食事の栄養学的な質や体重変化、代謝変化などを考慮しても、統計的に有意であったという。

なぜ超加工食品の摂取が2型糖尿病のリスクを高めるのだろうか。研究チームではいくつかの理由を挙げている。

その1:超加工食品は、一般的に栄養学的な質がきわめて低い。塩分、脂肪、砂糖が多めで食物繊維が少なく、血糖値を高めるグリセミック指数も高いことが多い。これらの因子はそのまま2型糖尿病のリスク因子でもある。

その2:多くの超加工食品、例えば加工肉や加糖飲料などは、それ自体が2型糖尿病のリスク因子である。

その3:超加工食品を多く摂取する人は、全粒穀物、野菜、果物など2型糖尿病の予防に効果があるとされる食品の摂取が少ない傾向にある。

「本研究結果は、超加工食品の摂取量が増えると2型糖尿病の発症リスクが高まることを示唆している。他の集団においても同様であるかどうかは今後の検討を待つ必要があるが、公衆衛生行政を司る者は、超加工食品の摂取を制限することを推奨するべきであろう」と研究チームは結論づけている。

出典は『JAMA内科学』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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