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公開日:2022-09-20

激しい運動をたくさんする人は心不全のリスクが低い

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運動をより激しくまた機会を増やすことで、心不全のリスクは下がるようだ、という研究結果が、『循環器』誌に発表された。

研究チームは、94,000人以上の参加者を6年間追跡調査した結果、中-高強度の運動が、心不全の発症リスクを低下させることを明らかにした。

本研究は、身体活動量計をもちいて客観的に測定した運動と心不全リスクとの関係を調べた初めての研究のひとつである。この結果は、週150-300分の中強度運動または75-150分の高強度運動が心臓発作や脳卒中リスクを下げるという先行研究における結果とも一致するものだ。

心不全は、慢性的かつ進行性の疾患で、心臓が身体に必要な酸素を十分に供給できる血液を送りだすことができない状態である。それは疲労の結果としても起こり、息継ぎが困難になる。米国心臓協会によれば、心不全は、全米で600万人以上の成人に影響しており、2019年には8万6千人以上が心不全で亡くなった。心臓協会は、心不全予防のために、週150分以上の中強度または75分以上の高強度の有酸素運動を推奨している。

「定期的な身体活動には心不全の発症を予防する多くの潜在的メカニズムが存在します」と共同筆頭著者で英国スコットランド・グラスゴー大学のフレデリック・K・ホー博士は語っている。「たとえば、身体活動は、体重増加を予防するので、それに関連した高血圧や2型糖尿病などの心臓代謝疾患も予防することができます。これらはすべて心不全のリスク因子です。定期的な身体活動はまた、心臓の筋肉を強化し、その結果心不全の発症を予防することができます。」

今回研究チームは、英国バイオバンクに登録された50万人のデータベースから抽出した、37-73歳の94,739人のデータを解析した。参加者は、2013年から2015年にかけて集められ、平均年齢は56歳、57%が女性、96.6%が白人だった。研究開始時に7日間連続で1日24時間身体活動量計を装着して運動の量と強度が測定された。その後平均6.1年間にわたる追跡調査期間中に、医療および死亡記録が収集された。

データ解析の結果、以下のようなことが明らかになった。

  • ●週150-300分の中強度の身体活動をする成人は、最低限の身体活動しかしない人に比べて、心不全の発症リスクが63%低い。
  • ●週75-150分の高強度の身体活動をする成人は、同様に、心不全の発症リスクが66%低い。

 

推定されたリスクの低下は、年齢、性別、民族、学歴、社会経済状態、喫煙、飲酒、食事などの影響を排除して算出されたものである。

「この結果は、全ての身体活動が重要であることを意味しています。気晴らしに10分間歩くことも、座りっぱなしやまったく運動をしないことに比べれば、良いことです。そして、もし可能であれば、少しだけ速く歩くとなお良いでしょう。運動強度が高まればそれだけ運動の潜在的な有効性も高まります」とホー博士は語っている。

ホー博士によれば、今回の結果から、中強度の運動は現在の米国心臓協会が推奨する以上にたくさん実行すれば、より高い心不全の予防効果を得られることが示唆されたという。「私たちは、中強度の運動が、各々に適したものなら週500分までの範囲で心血管リスクに潜在的な恩恵をもたらすことを発見しました。」

「医療の専門家は、患者の生活習慣や健康状態に合わせてより多くの身体活動を勧める場合があります。一般的に中強度運動は毎日実施しやすく安全性も高いものです。高強度運動は時間効率が良いので忙しい人々に好まれますが、導入時には外傷や急性事象(心臓発作など)の危険性もあるので注意が必要です」とホー博士はコメントしている。

出典は『循環器

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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