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公開日:2021-07-26

高強度トレーニングが中高年男性の骨の老化を予防する

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高強度の筋力トレーニングを定期的に行うことによって、男性の加齢による骨の劣化を予防することが可能かもしれない、というフィンランド・ユヴァスキュラ大学の研究結果が『骨及びミネラル研究雑誌』に発表された。

中高年の男性スプリント(陸上短距離)選手の脛骨を10年以上にわたって追跡調査した研究で、骨の加齢における適応能力の維持と、その際の定期的な高強度運動の重要性に関する新たな知見が得られたという。

「加齢に関連した骨の減少の一部は、おそらく身体活動量の減少で説明できるものです。特に、骨に高強度の負荷をかける運動は、年と共に減っていくのがふつうです」と筆頭研究者のトォーリ・スオミネン博士は語っている。

高強度の筋力トレーニングや、スプリント、ジャンピングといったトレーニングは、高齢者の骨にも有益であると思われる。けれども、そのようなトレーニングが加齢による骨の劣化を予防したり回復させたりすることが可能なのかどうかは、よくわかっておらず、これまでそれを経年的に検討する縦断研究も行われていなかった。

今回の、定期的な筋力およびスプリントトレーニングと骨の加齢の関連についての研究は、ユヴァスキュラ大学老年学研究センターとスポーツ健康科学部のより大規模な研究プログラムの一環として実施されたものである。40-85歳の男性69名が研究の追跡調査に参加した。参加者全員が、追跡調査の開始時にはすでに十分なトレーニングを積んでいた。

参加者の脛骨の状態は、追跡調査開始時と10年後に、CTスキャンによって検査された。トレーニングの状態と経年的な骨の変化の関係は、二つのグループを比較することによって検討された。すなわち、定期的に高強度のトレーニングを続けた選手のグループと、トレーニング量を減らした選手のグループである。

データ解析の結果、定期的な筋力およびスプリントトレーニングを続けた男性は、脛骨の劣化が抑えられたばかりか改善したケースさえみられたという。トレーニングを減らした男性の脛骨は10年の間に次第に劣化していった。トレーニングによるポジティブな効果は特に海綿骨密度と脛骨幹の断面形状において顕著で、高衝撃性のスプリントトレーニングと筋力トレーニングの両方のメリットを支持する結果だった。

「今回の参加者が行っていた高強度のトレーニングは、すべての高齢者ができるというものではありませんが、筋力パワートレーニングはすべての年齢の人に強く推奨されるものです」とスオミネン博士は語っている。「今回の研究において、高インパクトトレーニングの有効性は中年参加者の間で最も強く、筋力トレーニングの有効性は高齢者の骨の劣化防止に有効でした。筋肉の強さとパワーはまた、転倒とそれに関連する骨折の防止という観点からも極めて重要です。」

出典は『骨及びミネラル研究雑誌

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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