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公開日:2014-05-29

食前の「運動スナック」で食後血糖値が改善

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夕食前に30分の中強度運動を持続して行うよりも、朝昼晩の3回に分けて食前に高強度運動を短時間行うほうが、血糖値をうまくコントロールできるようだ、とニュージーランドの研究チームが『糖尿病学』誌オンライン版に発表した。

1401326910 血糖値は食事をすると誰でも一時的に上昇するが、糖尿病ではこれをできるだけ低く抑えることが望ましいとされ、運動にはその効果があるといわれている。しかし、どのような運動をどれだけすればよいのかについては、かならずしも一致した見解がない。

今回研究チームが検討した高強度運動は、高強度インターバルトレーニング(HIT)と呼ばれるもので、短時間でもっとも効率よいトレーニングが可能な方法だといわれているが、その健康効果についてはまだまだ未知の部分が多い。

研究チームは、9名の肥満者(男性7名、女性2名、年齢18-55才)を対象に、高強度インターバル運動が血糖値に与える影響を測る小規模な臨床試験を実施した。これは、ある1日を選んで、食事の前に決められた運動をしてもらい、血糖値の変動に対する影響を測るというものである。参加者は全員が糖尿病の前段階であるインスリン抵抗性があり、うち2名は新規に糖尿病患者と診断されたが、まだ誰も糖尿病薬は服用していなかった。

研究では、少人数でも信頼性の高い結果を得るために、全員が用意された3種類の運動メニューを、ランダムな順番ですべて体験する、いわゆる「クロスオーバーデザイン」と呼ばれる方法が採用された。通常の方法では、各々のメニューには異なる個人が割り当てられるので個体差によるバラつきが大きくなるが、この方法では各人がすべての方法を行うので個体差が最小になり、確実に「方法」の違いを見つけることができるというわけだ。

用意された運動メニューは次の3つ。なお、どのメニューも終了から食事までの間隔は30分とした。

(1) 持続的運動:1日1回夕食前に中強度(最大心拍数の60%)の坂道ウォーキングを30分間行う(対照群)

(2) 運動スナック:朝食、昼食、夕食の前に1分x6回の高強度(最大心拍数の90%)の坂道ウォーキングを行う(「運動スナック」というのは研究チームの造語である)

(3) 混合運動スナック:朝食、昼食、夕食の前に1分x6回の高強度(最大心拍数の90%)の運動(坂道ウォーキングとレジスタンス運動を交互に)を行う

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試験の結果、対照群である(1)の食事前の30分間の持続的運動は、血糖値のコントロールを改善しなかったが、(2)の「運動スナック」は、(1)と同じだけエネルギーを使う運動量を1日3回に分けて食前に実施することで、有意に血糖値のコントロールが改善されることが明らかになった。「運動スナック」をした場合、朝食後の食後血糖値の上昇は、運動しない場合と比べて17%低く、夕食後は、対照群(1)と比べて13%低かった。ただ、昼食後の高血糖に対する運動の効果はハッキリしなかった。

(2)における食後血糖値は1日を通じて平均12%低下しており、この効果は、運動した翌日にも弱いながらも継続していた。また、「運動スナック」の種類は、(2)の坂道ウォーキングでも、(3)のレジスタンス運動との組み合わせでも、特に違いはみられなかった。

今回の研究結果は、最近増えつつある、小さな運動の積み重ねが大きな効果を生む(たとえば心臓病を予防できるといった)という理論を支持する結果のひとつといえるだろう。

「高強度のインターバル運動を食事の前に少しするだけで一日中効果が期待できるので、きわめて効率的です」と主任研究者でオタゴ大学のモニーク・フランソワ准教授は語っている。

出典は『糖尿病学』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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