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公開日:2026-04-30

がんリスクを高める肥満の新たなメカニズム

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太った身体には、細胞をより多数含む大きな臓器が形成されるので、突然変異や悪性腫瘍のリスクも高まるようだ、という研究結果が発表された。

「以前から、肥満が発がんリスクを上昇させるといわれてきましたが、その理由が説明されることはめったにありませんでした。私たちの研究は、過剰な体重が代謝やホルモン分泌に影響するというだけではないことを明らかにしています。肥満は物理的に臓器を肥大化させ、それが発がんの機会を増やす可能性があるのです」と研究者は述べている。

「このプロセスを理解することが重要です。なぜなら、日々の健康的な選択が、数十年にわたるがんリスクをどのように形作るか説明する助けになるからです。」

ヒトが体重を増やすとき、より大きな身体のエネルギー需要を満たすために臓器のサイズが大きくなり、それを形成する細胞の数も増える。細胞の数が多くなれば、細胞分裂の際のDNAの複製エラーが起きる確率も高まるので、必然的にがん化の確率も高くなるというわけだ。

この仮説を検証するために、研究チームは2つの側面から研究を行った。

まず、研究者らは、BMI(体格指数)が18.5(低体重)から40以上(重度肥満)までのBMIの全範囲にわたる747名の成人を対象に評価を行った。CT画像診断を用いて、参加者の肝臓、腎臓、すい臓のサイズを測定した。

BMIの全範囲にわたって多数の成人を対象に、複数の臓器の大きさを分析したのは本研究が初めてだという。

解析の結果、研究者らは、体重が増加するにつれて臓器のサイズが大きくなることを発見した。BMIが5ポイント増えるごとに、肝臓は12%、腎臓は9%、すい臓は7%大きくなった。

次に研究者らは、剖検で採取された腎臓組織中の細胞数を数え、生存患者からのバイオプシー(生検)によるデータの再分析を行った。

その結果、体重増加による腎臓の成長の6割以上が、臓器内の細胞数の増加、すなわち過形成によるものであることが明らかになった。残りは、個々の細胞が大きくなること、つまり肥大によるものだったという。

この研究結果は、肥満者の臓器のサイズが大きいのは細胞が肥大化したせいだという従来の説を覆すものであった。むしろ、肥満は、主に細胞の数を増やすことでDNAの複製エラーを増やし、制御不能な増殖、そして腫瘍悪性化のリスクを高めるのである。

臓器のサイズが大きくなることは有害な結果を招く。「宝くじを買うことを考えてみてください。たくさん買うほど、当たる確率は高まります」と研究者は言う。「同じように、臓器の細胞が増えるほど、突然変異の回数が増え、細胞分裂中に異常を起こしてがん化する確率も高まるのです。」

全体として、本研究結果は、調べた3つの臓器すべてにおいて、臓器サイズの増大とがんリスクに強い関連性がみられることを裏付けた。この発見は、肥満に誘発される腫瘍形成の主要なメカニズムのひとつに、この臓器の細胞数増加があることを示す証拠である。

肥満によるこの新たに発見された影響は甚大で、臓器の大きさが2倍になることさえある。

「臓器のサイズが2倍になると、がんを発症するリスクもおよそ2倍になります」と研究者は言う。「BMIは、臓器のサイズについての指標としては不十分です。というのも、BMIは脂肪組織と除脂肪組織を区別しないからです。私たちの研究が示唆しているのは、少なくともいくつかの臓器においては、臓器の大きさがBMIよりもがんのリスクの良好な予測因子になるということです。」

研究者らは今後、減量によって臓器のサイズやがんリスクを減少させることができるかどうか、また、GLP-1作動薬が減量を通じてがんリスクを低下させる可能性のある効果について検討する予定である。

出典は『Cancer Research

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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