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公開日:2023-02-27

超加工食品の摂取はがんのリスクを高める

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超加工食品をたくさん食べることは、がんの発症および死亡のリスクを高める可能性があるようだ、という英国インペリアルカレッジロンドンからの研究報告。

研究チームは、超加工食品の摂取とがんの発症リスクの関係について、これまでで最も包括的な評価を行った。超加工食品とは、複数の加工プロセスを経て工業的に製造される食品のことで、ソーダ類や大量販売のパン、調理済み食品、大部分の朝食用シリアルなどが含まれる(複雑に加工されていても自宅で作ったものは含まれない)。

超加工食品は、比較的安価で、どこにでも売っていて、便利なものが多い、という特徴がある。けれども、それはまた大量の塩分、脂肪、砂糖と食品添加物を含んでいることが多いのである。現在までに、肥満、2型糖尿病、心血管疾患といったさまざまな健康障害との関連が多く指摘されている。

今回の研究は、英国バイオバンクの20万人におよぶ成人の食事調査を含み、10年以上にわたって、34種類にもおよぶがんの発症とそれに起因する死亡を追跡調査した、極めて大規模なものである。

研究チームは、超加工食品の摂取量が増加すると、全体的ながんの発症リスクが増加することを発見した。特にそれは卵巣がんと脳腫瘍で顕著であった。またがんに起因する死亡リスクも増加した。これも卵巣がんと脳腫瘍で顕著であった。

食事における超加工食品の割合が10%増えるごとに、全体的ながんの発症リスクは2%高まったが、卵巣がんでは実に19%も高まった。

同様に、食事における超加工食品の割合が10%増えるごとに、全体的ながんによる死亡リスクが6%高まり、乳がんと卵巣がんについてはそれぞれ16%と30%も高まることがわかったという。

このような関連は、社会経済状態や喫煙、飲酒、肥満などの生活習慣に関する因子の影響を調整後も見られた。

研究チームの以前の調査では、英国人は子供も大人も超加工食品の摂取量が欧州で最も多いことが分かっており、超加工食品の摂取量が多い英国人は肥満および2型糖尿病の発症リスクが高まることも明らかになっている。また子供たちの体重増加にも超加工食品は影響していた。

主任研究者であるエステル・ヴァモス博士は、「本研究は、超加工食品が健康に対してネガティブな影響を及ぼす、というエビデンスを追加するものです。英国では大人も子供も超加工食品の摂取量が多いため、これは将来の健康に重大な含みをもたらす可能性があります」と述べている。

「私たちの研究は、因果関係を証明することはできませんが、超加工食品を減らせば、重要な健康利益がもたらされる可能性のあることは、他の研究で示されています。」

筆頭研究者であるキアラ・チャン博士は、「英国の平均的な消費者は、1日のカロリー摂取量の半分以上を超加工食品から摂っています。超加工食品の成分の多くが工業的に加工されたものであること、さらに食品添加物が多く使われていることを考えると、これは極めて懸念される事態であるのです」と述べている。

出典は『eClinicalMedicine

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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