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公開日:2022-05-19

早期大腸がんを減らすため、食生活改善などの公衆衛生対策が必要

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増え続ける早期大腸がんを予防するために、食生活の改善などの公衆衛生対策が急務である、という米国メイヨークリニックの専門家によるレビュー論文が『ニューイングランド医学雑誌』に発表された。

早期大腸がんとは、50歳未満で診断される大腸がんで、大腸がん症例の10%を占め、特に米国などの先進諸国では近年、増加を続けている。この増加に加えて、大腸がん検診の普及で後期発症の大腸がん症例が減少したこともあって、大腸がん患者の診断時の平均年齢は2000年ごろには72歳であったものが、最近では66歳まで若年化してきた。

「重要なことは、早期大腸がんの多くの症例が、既知の遺伝的素因をもたない者の間にみられることです。早期大腸がんが増加していることの明確な原因が、依然として不明のままであることを認識しなければなりません」とレビュー論文の著者でメイヨークリニックがんセンターに勤務する腫瘍科・消化器内科が専門のフランク・シニクロープ医師は語っている。

「そのため、大腸がんの既知のリスク因子をターゲットにした幅広い公衆衛生対策が必要です。それはかなり若い時期、できれば思春期から始める必要があります。既知のリスク因子としては、たとえば、不健康な食生活習慣や身体活動の不足、座りっぱなしの生活などが挙げられます。それらの改善が必要です」とシニクロープ医師は言う。

早期大腸がんが増加している原因は、かならずしも明確にはなっているとはいえない。けれども、これまでのデータでは、牛肉や豚肉などの、いわゆる赤肉(獣肉)とそれらの加工肉を大量に摂取する食生活に問題があることが示唆されている。同様に、精製穀物や加工された糖質もまた腸内細菌叢に良くない影響を及ぼす。それらは腸内に慢性炎症を起こし、肥満をもたらし、最終的には、大腸がんのリスクを高めることになると考えられる。

「これまでの科学的知見に基づくと、野菜や果物など植物性食品を中心とした健康的な食生活をすることと、身体活動を増やすことが、好ましい腸内細菌叢の形成を促進する役に立ちます。それは結果的に、大腸がんのリスクを低下させることになるのです」とシニクロープ医師は語っている。

植物性食品を中心とした健康的な食生活や、毎日の身体活動は、早期大腸がんだけでなく、さまざまな慢性疾患の予防としても役立つだろう。

シニクロープ医師は現在、大規模なコホート研究や国際的な研究チームと共に、早期大腸がんの発症を増加させる人生初期のリスク因子について、さらに信頼性の高い結果を得るべく取り組んでいるとのことである。

出典は『ニューイングランド医学雑誌

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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