健康食品を科学的に考察する情報サイト

サン・クロレラ 研究サイトSUNCHLORELLA LAB

健康食品を科学的に考察する情報サイト

健康素材の研究レポート 一覧

サン・クロレラ研究開発部が健康素材の試験や分析した結果を報告しています。

健康素材の研究レポート 一覧

【学術情報】

(株)サン・クロレラ研究開発部

クロレラは大腸の炎症を抑制する高極性スフィンゴ脂質を豊富に含んでいる「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」に掲載

Journal of Nutritional Science and Vitaminology, Vol.68, No.4, 2022 に掲載

研究目的
日本はじめ東アジア諸国で大腸疾患(潰瘍性大腸炎、大腸がん等)が増加しており、その原因の一つとして、食生活の欧米化が考えられています。その一例として、60年前の食事と比較し、脂質の消費は約3倍、畜産物の消費は約4倍、油脂類の消費は約3 倍に増えています。飽和脂肪酸の摂取過多は腸管バリアを損傷させ、n-6系多価不飽和脂肪酸やヘム鉄を多く含む赤身肉や加工肉の摂取過多により腸管の炎症が促進されることが知られています。
植物由来の脂質、特に糖脂質は腸障害の予防など、ヒトの健康に寄与する様々な作用を有することが報告されています。クロレラは脂溶性成分を含めて多様な栄養素を含んでいますが、含まれる栄養素はクロレラの系統により異なることが知られており、本研究ではクロレラ・ピレノイドサ種の栄養的な機能を評価するため、脂質について詳細な分析を行いました。
試験方法
クロレラ・ピレノイドサの乾燥粉末中の高極性スフィンゴ脂質と糖脂質、およびその脂肪酸組成をガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)により分析し、大腸疾患予防食材としての評価を行いました。
 結   果
1) クロレラ・ピレノイドサに含まれる総脂質において、脂肪酸の45.6mol%をα-リノレン酸等のn-3系多価不飽和脂肪酸が占めており、n-3系多価不飽和脂肪酸のうち、62.2%は糖脂質に結合して存在しており、非常に酸化安定性が高いと考えられます(表1)。

 

2) クロレラ・ピレノイドサの糖脂質含有量は、約5.7g/100gであり、おもな糖脂質は、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)でした。
ホウレンソウ、パセリ、エゴマ葉など葉物類の糖脂質含有量をみると、乾燥重量100g当たり0.5~2.0g程度であり、クロレラはMGDG等の糖脂質を豊富に含む植物性食品と言えます(表1)。

 

3) クロレラ・ピレノイドサのn-3系多価不飽和脂肪酸の含有量は、約2800mg/100g で、うちヘキサデカトリエン酸が700mg、ヘキサデカテトラエン酸が270mg、α-リノレン酸が1800mgでした(表2)。

 

4) クロレラ・ピレノイドサは、高極性スフィンゴ脂質を73.5mg/100g と豊富に含んでおり、これは代表的なスフィンゴ脂質の供給源である米ぬか(およそ35.3mg/100g)の約2倍の含有量になり、クロレラ・ピレノイドサは高極性スフィンゴ脂質の優れた供給源になると考えられます(表3)。

本研究の結果から、クロレラ・ピレノイドサは、酸化安定性の高いn-3 系多価不飽和脂肪酸に富む糖脂質や高極性スフィンゴ脂質を豊富に含有し、潰瘍性大腸炎や大腸がんなどの大腸疾患の予防に有用な食品である可能性が示されました。

 

 

 

なお、本論文は自由に閲覧することが可能です。

 詳   細 

掲 載 誌:
Journal of Nutritional Science and Vitaminology, Vol.68, No.4, 2022
タイトル:
Characterization of Glycolipids in the Strain Chlorella pyrenoidosa
著  者:
Shinji YAMASHITA1, Taiki MIYAZAWA2, Ohki HIGUCHI2, Hideo TAKEKOSHI3, Teruo MIYAZAWA2 and Mikio KINOSHITA1
所  属:
1Department of Life Sciences, Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, Obihiro 080-855, Japan 2Foof Biotechnology Innovation Project, Industry Creation Hatchery Center (NICHe), Tohoku University, Sendai 980-8579, Japan 3Production and Development Department, Sun Chlorella Co., Ltd., Kyoto 600-8177, Japan

PDF版 215KB

※この情報は、学術雑誌や学会において発表された内容の掲載であり、商品の販売促進を目的とするものではありません。

  • Google Bookmarks Google Bookmarks
  • はてなブックマーク はてなブックマーク