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公開日:2023-04-26

眠りのクオリティが悪いと健康寿命が短くなる

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睡眠の質が低い人は、心血管疾患の発症が2-7年早まることで健康寿命が縮まり、早死リスクが高まるようだ、というシドニー大学と南デンマーク大学の共同研究結果が発表された。

研究チームは、英国バイオバンクに登録された30万人以上のデータを解析し、睡眠時のさまざまな障害が、後の人生における心血管の健康に悪影響を及ぼすことを発見した。

特に、睡眠時無呼吸症候群の人は、健康な人に比べて、心血管疾患なしで生きられる寿命(心血管健康寿命)が、男性の場合、平均で7年近く短く、女性の場合には7年以上短くなることがわかった。

さらに重要なのは、ただの睡眠不足や不眠、いびき、夜更かし、昼間の眠気のような、ありふれた睡眠障害であっても、心血管健康寿命が2年近く短くなる可能性が、男女ともにみられたことだという。

「夜ぐっすり眠れないとき、昼間の気分がすぐれなかったり、体調が不完全だと感じることはだれにでもあります。私たちの研究結果は、睡眠の質の低いことが、齢をとってからの心血管系の健康に顕著な影響をもたらす可能性を示しています」と主任研究者のエマニュエル・スタマタキス教授は述べている。

「睡眠時無呼吸症候群が、心血管疾患などのリスクを高めることはよく知られていますが、今回の結果は、より一般的な睡眠障害でも心臓の健康に重大なリスクをもたらす可能性について警鐘を鳴らすものです。」

研究チームは、自己申告による睡眠時間、不眠、いびき、昼間の眠気、朝型・夜型などを点数化した総合睡眠スコアを開発し、参加者の40歳の時点での睡眠の質を「悪い」、「普通」、「健康的」の三段階に分類して、彼らの心血管疾患のない健康寿命と比較した。

さらに、本研究に先立つ2年間の医師による診断データと自己申告によるデータを結合させることによって、睡眠パターンと睡眠時無呼吸症候群のような疾患の関連をよりよく理解することが可能であったという。

睡眠スコアが「悪い」女性は、「健康的」な女性に比べて、心血管健康寿命が2年短くなり、「悪い」男性は、2年以上短くなった。睡眠スコアが「普通」の場合でも、女性でほぼ1年、男性で1年ちょっとの心血管健康寿命の短縮がみられた。

これは、いびきや入眠障害、睡眠障害が、将来の潜在的な健康問題の警告サインである可能性を意味している。

「英国人の平均余命は80歳ですが、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠関連呼吸障害と診断された人では、心血管健康寿命は7年以上も短くなりました」と筆頭研究者のボフエイ・ファン博士は述べている。

「睡眠は、重要な生物学的機能のひとつですが、これまで公衆衛生政策においてずっと過小評価されてきました。この研究結果が、栄養・運動と並ぶ健康の柱として認識されるべき睡眠の重要性を明らかにしたのは喜ばしいことです。 公衆衛生政策において睡眠が確実に意識される時代がやって来たのです」と共同研究者のピーター・シストゥリ教授はコメントしている。

出典は『BMC Medicine

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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