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公開日:2020-11-25

不健康な食事が心臓病による死亡の最大の原因である

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心臓病による死亡の3分の2は、健康的な食生活をすることで防ぐことができる、という研究結果が、『欧州心臓雑誌-ケアクオリティと臨床転帰』誌に発表された。

10月16日は「世界食料デー」だったが、本研究は、すべての人が健康的な食事をする(できる)ことの重要性を強調するものであるといえよう。

「私たちの分析は、(1)健康的でない食事、(2)高血圧、(3)高コレステロール血症の3つが、心臓発作と狭心症、つまり虚血性心疾患による死亡の主なリスク要因だということを示しています」と主任研究者で中国・中南大学の劉馨遙博士は語っている。「これは、先進国でも発展途上国でも同様にみられるものです。」

「加工食品、加糖飲料、トランス脂肪、飽和脂肪、添加された塩分と糖類の摂取量を減らし、魚介類、果物、野菜、ナッツ、全粒穀物の摂取量を増やすことで、世界で600万件以上の死亡を避けることができます。理想をいえば、私たちは毎日200-300mgのオメガ-3系脂肪酸を魚介類から摂取すべきです。加えて、毎日200-300gの果物、290-430gの野菜、16-25gのナッツ、100-150gの全粒穀物の摂取を目標とすべきなのです。」

本研究は、世界疾病負荷研究2017のデータを分析したものである。ここには、世界195か国の1990年から2017年までのデータが含まれている。2017年に、1億2,650万人の人が虚血性心疾患を患っており、106万人は新規の患者である。2017年には890万人が虚血性心疾患によって死亡した。これは全死亡者数の16%に相当するもので、1990年の12.6%から増加する傾向にある。

1990年から2017年の間に、虚血性心疾患の有病率、新規罹患率、死亡率は、各々11.8%、27.4%、30%低下した。けれども、絶対数では、ほぼ2倍に増加している。劉博士は、「心臓病予防が進歩し生存率が向上しても、人口が増え高齢化が進んだことで、総数は増えているのです」と語っている。

今回、研究チームは、虚血性心疾患で死亡に至る11のリスク要因についてデータを解析した。11の要因とは、食事、高血圧、高LDL-コレステロール血症、高血糖、喫煙、肥満(高BMI)、大気汚染、運動不足(低身体活動)、腎機能障害、鉛汚染、飲酒である。特に、各リスク要因がなかった場合に、何人が命を救われるかを推定した。

その結果は、次のようなものだった。

11のリスク要因の他のすべてが変わらないとして、もし食事だけが健康的なものに変化したとしたら、虚血性心疾患による死の69.2%が予防できるだろう。同様に、最高血圧を110~115 mmHgに維持できれば54.4%を予防できる。血清LDL-コレステロールを0.7~1.3 mmol/Lに維持できれば41.9%を予防できる。

さらに、空腹時血糖値を4.8-5.4mmol/Lに維持できれば虚血性心疾患による死の25.5%を、喫煙と二次喫煙を防げば20.6%を予防できる。

興味深いのは、喫煙は男性では4番目に重要な虚血性心疾患の死亡要因であるのに、女性では7番目であったことだという。1990年から2017年の間に、男性の喫煙者率は28.4%低下したが、女性は34.4%低下した。

肥満は、女性では5番目に重要な死亡要因だったが、男性では6番目だった。もし、BMI(肥満指数)を20-25kg/m2に保てれば、虚血性心疾患による死の18.3%を予防できるという。

「このように、虚血性心疾患は、健康な生活習慣によって多くが予防可能ですから、人々は率先して生活を改善する必要があります。加えて、中国や中央アジアのように特に塩分摂取が多い地域では減塩プログラムを重視するというように、地域ごとの対応も重要でしょう」と劉博士はまとめている。

出典は『欧州心臓雑誌-ケアクオリティと臨床転帰

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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