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公開日:2015-07-27

「なぜ女性のほうが長生きなのか?」を掲載しました。

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世界中のすべての国々において、女性の寿命は男性よりも長く、だれもがそれを当然だと思っている。だが、それがいつからのことなのか、またその理由についてはかならずしもはっきりしていなかった。

今回、米国サザンカリフォルニア大学の研究チームは、心臓病に対する脆弱性が、男性と女性の平均寿命の大きな違いを生んでいる最大の要因である、という研究結果を『国立科学アカデミー論文集』に発表した。平均寿命の男女差が顕著になり始めたのは20世紀初頭であるという。人類の長い歴史からすれば意外なほど最近のことだ。19世紀から20世紀にかけて、目覚ましい医学の発達によってコレラ、結核などの感染症が激減し、また食生活の改善といったポジティブな健康行動が社会に浸透していった結果、死亡率は急速に低下していったが、特に女性における寿命の延びが目覚ましかった。 1437633403

世界中の様々な統計データを解析した結果、研究チームは、中高年男性における心臓病の高い死亡率がその主要な原因であることを発見したという。

「男女の死亡率の明らかな違いは1870年ごろから始まっていましたが、驚いたことに、それは50-70歳代に集中しており、80歳を過ぎると急速に減少したのです」と主任研究者のアイリーン・クリミンス教授は語っている。

1437633560 今回研究チームは、先進13カ国における1800年から1935年までの男女別の平均寿命を調査した。特に40歳以上の人々の死亡率の年次推移に焦点を当てて調べた結果、1880年以降に出生した人々の場合、女性の死亡率の低下速度が男性のそれの1.7倍も急速だったという。40歳以上の男性が女性に比べて特に高い死亡率を示す主要な死因は心臓病だった。心臓病に影響のある男女差の大きい因子として喫煙率の違いが考えられるが、その影響を差し引いても依然として男性の方が死亡率は高かったという。「実際のところ、1890年以降の男女の心臓病による死亡率の差のうちで、喫煙の影響は3割程度に過ぎなかったのです」とクリミンス教授は説明している。

心臓病による死亡率が中年から初老にかけて女性より男性に多い理由は現在のところ不明である。男性と女性の生物学的な違い、生活史、生活習慣の違いなど様々な要因が考えられる、と研究チームは述べている。

「食生活と運動量の国別比較、男女の細胞レベルにおける遺伝・生物学的脆弱性に関する解析、脳に与える影響など、さまざまな研究が今後必要でしょう」と研究チームは述べている。

出典は『国立科学アカデミー論文集』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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