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公開日:2024-11-28

若くて活動的でも、座りっぱなしは健康に有害

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週60時間以上座っている若年成人は、心臓病、脳卒中、高血圧、肥満のリスクが高まり、老化が促進されるようだ。

長い通勤時間、オンライン会議だらけのデスクワーク、そしてストリーミングとスクローリングに明け暮れる余暇時間。ミレニアル世代(80-90年代生まれ)の若年成人は、週60時間以上を座りっぱなしで過ごすことが多く、それは、心血管系疾患のリスク(総コレステロール、LDL、高血圧、肥満など)やその他の加齢の兆候を促進する可能性が高い、という米国の研究結果が発表された。

この研究は、730人の双子を含む1,000人以上のコロラド州民を対象にしたもので、若年成人が長い時間座っていることで、コレステロール(総コレステロール、LDL、HDL)と肥満(BMI)にどのような影響をもたらすかを検討したものである。

明らかになったのは、起きている間中座りっぱなしでいるような生活がもたらす健康リスクは、政府が推奨する最低ラインぎりぎりの、1日20分ほどの中強度身体活動では、まったく解消することができない、ということであった。

「私たちの研究が示しているのは、座っている時間を減らすか、より激しい運動をするか、あるいはその両方をしなければ、若いうちから時期尚早の老化が進行するのを抑えることはできないだろう、ということです」と主任研究者のチャンドラ・レイノルズ教授は述べている。

COVID-19パンデミックの後、筆頭研究者で大学院生のリャン・ブルーメン氏は、彼や彼の同世代の人々が以前よりも座っている時間が長くなっていることに気づいたという。

「若年成人は、自分がすでに老化し始めているなどとは考えないものです。そうではなくて、『僕の代謝機能は絶好調なのだから、50代か60代になるまで考える必要はない』と思うのです」とブルーメン氏は述べている。「でも、実は、人生のこの時期に何をするかが極めて重要なのです。」

研究者らは、コロラド大学の「コロラド養子縁組/双子生涯行動発達および認知加齢研究(CATSLife)」に参加した双子730人を含むコロラド州の元居住者や現居住者1,327人(28-49歳)のデータを分析した。この研究では、双子と養子縁組された個人を幼少期から追跡調査している。

参加者は平均して1日9時間座り続けていた。なかには16時間という者もいた。彼らの1週間の平均身体活動時間は、80-160分の中強度身体活動と135分未満の激しい運動だった。もっとも、これは全米平均に比べると比較的良好な身体活動量ではあった。

研究者らは、心臓や代謝の老化にカギとなる2つの指標(総コレステロール:HDLコレステロール比と肥満(BMI))に対して、座位行動と身体活動量がどのように影響するかを検討した。その結果、一言でいえば、座る時間が長いほど老化が進むことがわかったという。中強度身体活動を少しするだけでは、座っていることの悪影響をほとんど打ち消すことができなかった。

実際、若年成人で、1日の座位時間が8.5時間ある場合、身体活動量が政府の推奨量ぎりぎりならば、心臓病や脳卒中などの心血管系疾患や高血圧などの代謝系疾患のリスクは、依然として中程度から高いままであった。

「仕事の後に早歩きをするくらいではまったく不十分なのです」とレイノルズ教授は述べている。「年齢が上がるほどさらにリスクが高まるのは事実ですが、私たちはこのリスクがすでに若年成人の時点で明白であることを証明しました。」

例えば、同じくらい長く座っている人でも、毎日30分の激しい運動(ランニングやサイクリング)をしている人では、運動をまったくしない人に比べて、コレステロールやBMIの値が、5-10歳若かったのです。

とはいえ、座位時間が長くなるにつれ、激しい運動をしてもその影響を完全に打ち消すことは難しくなったという。

今回の研究においては、同じ遺伝子を100%保持する一卵性双生児のペアの存在が特に役立ったという。遺伝的に同一であるため、生活習慣の違いがより明確に現れるからである。

双子だけを対象に座っている時間と身体活動習慣の関係を解析した結果、座る時間を運動に置き換えることは、座る時間に運動をプラスすることよりも、コレステロールの改善に有効であることが明らかになった。

「立ち机、こまめな休憩、ウォーキング会議などによって、仕事における座位時間を減らすことができます。可能であれば、1日30分以上の息を切らす激しい運動や、週末戦士になってもっと激しい運動をすることもできるでしょう」とブルーメン氏はコメントしている。

出典は『PLOS ONE

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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