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公開日:2023-04-19

一般的な人工甘味料が心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるかもしれない

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米国クリーブランドクリニックの研究チームは、ポピュラーな人工甘味料であるエリスリトールが、心筋梗塞や脳卒中のリスクの上昇に関連している可能性があることを、『ネイチャー医学』誌に発表した。

米国と欧州の4千人以上の血液を分析した結果、血中エリスリトール濃度が高いほど、心筋梗塞、脳卒中、あるいは死亡といった主要な心血管系有害事象の発症リスクが高まることが明らかになったという。

研究チームはさらに、実験的に全血(通常の血液そのもの)または血液から単離した血小板(血球の一種で、損傷した血管部位に集まり変形して血栓を形成する性質がある)にエリスリトールを添加すると、血小板が容易に活性化されて血栓を形成するようになることを発見した。動物実験でもエリスリトールの摂取が血栓形成を促進することが確認された。

「エリスリトールのような甘味料は近年きわめて急速にポピュラリティを獲得してきましたが、その長期的な影響については、より詳細な研究が必要とされています」と主任研究者のスタンレー・ヘイゼン医師は語っている。「心血管疾患は、長い時間をかけて徐々に進行しますが、世界的にも死亡の主要な原因のひとつになっています。私たちは、その進行の陰に隠された食事性因子がないかどうかをハッキリさせる必要があります。」

エリスリトールのような人工甘味料は、テーブルシュガーに代わる低カロリー、低炭水化物の代替品、あるいは「ケト」製品としておなじみである。エリスリトールを含む無糖の製品はしばしば肥満、糖尿病、メタボリック症候群の患者に推奨され、カロリーコントロールを助ける存在として重宝されている。だが、こうした患者の多くは、同時に心血管系の有害事象のリスクが高いことも知られている。

エリスリトールは、砂糖の70%ほどの甘さがあり、トウモロコシの発酵によって作られる。エリスリトールは、体内でほとんど代謝されず、そのまま血液中に入って、尿中に排泄される。ヒトの体内でも微量のエリスリトールが生合成されるので、摂取したエリスリトールはそこに上乗せされて蓄積することになる。

人工甘味料の測定は困難で、表示義務も最小限であり、しばしば個々の化合物名としては記載されないこともある。エリスリトールは、米国食品医薬品局(FDA)によって「GRAS(一般に安全と認識される)」であると認定されており、そのため長期安全性試験は必要とされていない。

研究チームでは、今回の研究結果をより大規模な集団で確認するためのフォローアップ研究が重要だと指摘している。本研究は、臨床観察研究であるため、因果関係は証明できないからだ。

「私たちの研究が示しているのは、対象者が人工甘味料入りの食品・飲料を摂取すると、数日中に血中濃度が顕著に上昇するということです。その濃度は、血栓形成を促進するレベルをはるかに超えているのです」とヘイゼン医師は語っている。「人工甘味料、とりわけエリスリトールの長期の安全性試験が実施されることが重要です。」

出典は『ネイチャー医学

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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