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2021-07-30

糖尿病になる年齢が若いほど認知症のリスクが高まる

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2型糖尿病を発症する年齢が若いほど、後年、認知症になるリスクが高まるようだ、という仏パリ大学などからの研究結果が『JAMAネットワーク』誌に発表された。

近年世界的に2型糖尿病の有病率が上昇している。2型糖尿病は、心臓病や脳卒中のリスクを高めるが、特に発症年齢の若いことがリスクをさらに高めることが知られている。糖尿病はまた、認知症のリスクを高めることも報告されているが、発症年齢との関係については明らかではなかった。

研究チームは、1985年に始まったロンドンの政府職員10,095名(67.3%が男性。研究参加時に35-55歳)を対象とした疫学研究で、2019年3月まで平均31.7年にわたって追跡調査したデータを解析した。

期間中に1,710名が2型糖尿病と、639名が認知症と診断された。データ解析の結果、70歳で糖尿病のない者が毎年認知症になる割合は、1000人あたり8.9であったのに対し、65歳以降に糖尿病を発症した者では10.0、60歳以降に糖尿病を発症した者では13.0、60歳未満で糖尿病を発症した者では18.3と、糖尿病の発症年齢が下がるにつれて認知症の割合が高まることがわかったという。

統計処理の結果、6-10年前と10年以上前に糖尿病を発症した70歳の者の認知症の発症リスクは、糖尿病のない70歳の者と比較して、それぞれ1.49倍と2.12倍高く、2型糖尿病の発症年齢と、認知症の発症リスクには段階的な関連のあることが示された。

つまり、70歳の時点における認知症の発症リスクは、2型糖尿病の発症が5年早まるごとに1.24倍ずつ高まっていたというわけである。

糖尿病の発症のリスクを高める前糖尿病(いわゆる糖尿病予備群)や肥満、運動不足、糖尿病の家族歴などと、認知症の発症リスクの間には関連がみられなかった。これまでの研究でも、前糖尿病と認知症の関連性については結果が一貫しておらず、今後さらに検討が必要と思われる。

糖尿病は、広い範囲の血管疾患のリスクを高めることが知られていることから、この血管疾患が糖尿病患者の認知症リスクを高めていることが考えられる。実際、今回の解析でも、脳の血管障害である脳卒中、心臓の血管障害である心筋梗塞を併発した糖尿病患者で、特に高い認知症リスクがみられたという。

糖尿病が認知症に関連する根底にある正確なメカニズムは依然として不明なままであるが、糖尿病で起こるインスリン抵抗性に関連した脳の代謝機能障害、炎症、酸化ストレスなどが認知症に関連している可能性がある、と研究チームは考察している。ただ、その具体的なプロセスに関してはさらなる研究が必要である。

研究チームは、「平均追跡期間31.7年のこの縦断的コホート研究では、糖尿病発症時の年齢が若いほど、その後の認知症のリスクが高くなることに有意に関連していた」と結論付けている。

「私の夢は、加齢に伴う認知機能低下の危険因子を特定し、心血管疾患の有病率を下げることにつながったキャンペーンにように、認知症予防キャンペーンを実施できるようにすることです」と主任研究者のアルカナ・シン=マヌー博士は別のインタビューに答えて語っている。

出典は『米国医学会誌(JAMA)

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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