公開日:2024-03-25
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たんぱく質が豊富な朝食は、満腹感を高め、精神の集中力を改善することが、デンマークの研究で明らかになった。これは、肥満と生活習慣病が増え続ける社会においては、極めて重要な知見である、と研究者らは述べている。
「朝食は一日のうちで最も大事な食事である」という決まり文句は、だれもが一度は聞いたことがあるだろう。だが、実のところこの言葉には、現在でもそれほど確かな科学的根拠があるというわけではない。
だが、デンマークの研究チームは、さまざまな種類の朝食が満腹感と集中力にどのような影響を及ぼすか調査し、この古臭い決まり文句に新たなお墨付きを与えた。 |
研究チームは、過体重(BMI25~29.9)または肥満(BMI30以上)の女性30名(18-30歳)を対象に、ランダムな順番で3日間ずつ、(1)たんぱく質が豊富な朝食群、(2)炭水化物が豊富な朝食群、(3)対照群:朝食なし、の生活をしてもらった。参加者は、昼食時に、満腹感、ホルモンレベル、摂取カロリー量を測定された。また1日の総カロリー摂取量も測定された。参加者はまた、精神の集中力を測る検査も受けた。
「私たちは、スキール(skyr、ヨーグルトの一種)とオーツ麦を使用したたんぱく質が豊富な朝食が、満腹感と集中力を高めることを発見しましたが、朝食抜きの場合や炭水化物が豊富な朝食の場合と比べて、1日の総カロリー摂取量が減るということはありませんでした」と主任研究者のメッテ・ハンセン准教授は述べている。
先行研究では、朝食を食べる人は、朝食抜きの人に比べて、BMIが低い傾向にあることが示されており、また高たんぱくの食事は、同じカロリーでも高炭水化物の食事に比べて、一般的に高い満腹感を得られることが示されている。
これらの結果から、たんぱく質が豊富な朝食を食べることは、満腹感を高め、その結果1日の総カロリー摂取量を減らすことにつながるだろうというアイデアが生まれたわけである。「けれども、それはそう単純なことではなかったようです」とハンセン准教授は言う。
「今回の結果は、たんぱく質が豊富な食事が満腹感を高めることは確認できました。これは体重の増加を防ぐためのポジティブな結果です。けれども、栄養学的な戦略として、それだけでは十分ではなかったようです。」
炭水化物が豊富な食事から、たんぱく質が豊富な食事へと変更することが、満腹感に及ぼす影響については明白で、参加者の中には、スキールとオーツ麦の朝食が食べきれない者もいたほどだという。 「同じカロリーでも、満腹感に及ぼす影響には大きな違いがあるのは興味深いことです。女性たちが、自分で朝食のサイズを選ぶことができていたら、おそらくパンとジャムの炭水化物が豊富な朝食の日には、スキールとオーツ麦のたんぱく質が豊富な朝食の日に比べて、より多く食べ、結果としてより多くのカロリーを摂取していたでしょう」とハンセン准教授は述べている。 本研究からは貴重な洞察が得られたが、対象者が太り過ぎの若い女性だけだったことからくる限界がある、と研究者らは述べている。また期間も極めて短期間であり、長期的な食事の変更が健康や体重にどのような影響を及ぼすかという疑問は未解決のままである。 |
ハンセン准教授らは現在、高たんぱく食と低たんぱく食を比較したさらなる研究を実施しているところであり、そこでは、朝食が体組成や、腸内細菌叢、コレステロール値などに及ぼす影響が検討されているという。
「これらの研究結果により、将来的にはより的を絞った栄養に関する推奨事項を提示できる可能性があります」とハンセン准教授はコメントしている。
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