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公開日:2018-12-05

たんぱく質をたっぷり摂る高齢者は障害のリスクが低い

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たんぱく質を充分に摂取している85歳以上の高齢者は、摂取していない高齢者に比べて、重度の障害になりにくいようだ、という英国ニューカッスル大学からの研究が発表された。

元気で自立した生活を営むために、高齢者は日常的な身の回りのケアと基本的な家事ができる必要がある。つまり、食事、入浴、身支度、トイレ、そして財政管理、買い物、社会活動への参加などが一人でできなければならない。

それができなくなると、自立性が損なわれ、生活の質(QOL)が急激に低下する。日本はもちろんのこと、世界中で社会の高齢化が急速に進行しており、多くの研究者が、高齢者の自立をより長く維持するための方法を研究しているが、最近、英国ニューカッスル大学の研究チームが、たんぱく質をたくさん摂取することが自立性を維持する助けになることを発見した。この研究結果は、『米国老人医学会雑誌』に発表された。

たんぱく質の摂取は、身体から筋肉が失われるのを遅らせる効果がある。充分な筋肉があれば、日常動作を維持することが容易になり、障害を予防することができる。ところが、高齢者は、体調不良や運動不足、口腔関連の問題などのために、若者ほどたんぱく質を摂らない傾向にある。

高齢者におけるたんぱく質の摂取と障害リスクの関係を知るために、研究チームは、英国のニューカッスルで実施された85歳以上の高齢者を対象とした疫学研究のデータを解析した。この研究は722名の参加者を集めて2006年に開始されたもので6割が女性だった。参加者は、毎日の食事、体重、身長、健康状態、医療記録などが調べられた。

障害の程度については、アンケートによって、上記の日常生活動作などの困難度を評価し、4段階(超軽度、軽度、中度、重度)に分類した。

研究開始時の調査の結果、全体の3割弱の人が、たんぱく質の推奨摂取量を満たしていないことが明らかになった。

参加者を5年以上にわたって追跡調査して、障害の発生率を調べた結果、たんぱく質の摂取が多い高齢者ほど、重度の障害になるリスクが低下した。毎日体重1kgあたり1.0g以上の充分なたんぱく質を摂っていた人は、そうでない人に比べて、重度の障害になるリスクが有意に低かった。

これは、たんぱく質の摂取量が少ない人は、筋肉量の低下が早まり、障害の発生率が高くなるだろう、という研究チームの仮説に合致する結果であったという。

「私たちの研究結果は、高齢者には日々の活動を維持するために適正なたんぱく質摂取が必要だという考え方を支持するものです。高齢者は1日体重1kg当たり1.0-1.2gのたんぱく質を摂取すべきです(100gの鶏肉には約31gのたんぱく質が含まれます)」と主任研究者のニューノ・メンドンカ博士はコメントしている。

出典は『米国老人医学会雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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