公開日:2023-08-30
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夜食を止めるなど食事の時間帯を制限することで、腸の健康が最適化され、2型糖尿病を予防できるかもしれない、という米国ジョージア大学の研究結果が発表された。
間欠断食がハリウッドのセレブたちの間で大流行したとき、懐疑論者の中には食事を抜くという考えに眉をひそめた者も多かった。けれども、実のところセレブたちは、それほど見当違いではなかったのかもしれない。
研究者らは、先行研究を系統的にレビューした結果、ある種の食事制限が、2型糖尿病の発症リスクを低下させ、全体的な健康を改善するかもしれないことを発見した。この食事制限は、間欠断食あるいはプチ断食と呼ばれ、食事の回数を減らし、夜食を完全に止め、1日のうちの連続する12-14時間(通常は夜)はなにも食べずにいる(つまり1日10-12時間だけ食べる)という食事法である。 |
「1日3回朝昼晩の食事とおやつというのが、私たちが長年にわたって教えられてきた食事習慣です」と主任研究者のクシシュトフ・チャヤ准教授は述べている。「ところが、これが明らかに肥満の原因のひとつになっているのです。」
1日3食におやつの食事スタイルは、インスリンレベルの低下を防ぐが、過剰なカロリーと糖質の摂取によって体内のインスリン受容体に過剰な負荷をかける。その結果インスリン抵抗性(前糖尿病)が発現する。
「それは、体脂肪を減らすのが困難な理由でもあります」とチャヤ准教授は言う。「身体が体脂肪を燃やすチャンスがないのです。食事の回数を減らせば、身体が貯蔵された体脂肪をエネルギー源として使うことができるようになります。」
研究者らは、時間制限食が、身体をリラックスさせ、インスリンレベルと血糖値を下げる結果、インスリン抵抗性、脳の健康、血糖値コントロールが改善することを発見した。時間制限食によって、特にカロリーを意識することなく、1日あたりのカロリー摂取量が平均約550kcalも減らせるのだという。
睡眠や食習慣が乱れると、それが腸内細菌に悪い影響を及ぼすことが先行研究で示されている。だが、断食は腸内細菌にポジティブな影響を及ぼし、炎症やメタボを改善する方向に作用する。
断食はまた、食欲を司るホルモンのコントロールを良好にし、エネルギーレベルを保つ助けになる。
間欠断食では、規則正しく朝食をきちんと食べ、それ以外の食事やおやつを減らすことが、肥満や2型糖尿病を予防する助けになる。だが全ての朝食が同じと言うわけではないようだ。タマゴのような健康的な脂肪とたんぱく質を多く摂り、朝食用シリアルやペストリー(菓子パン)のような砂糖が多く含まれる食品は避ける必要がある。
また、一口に時間制限食といっても、かならずしもすべての種類の時間制限食が効果的とはいえないことも明らかになった。たとえば、1日おきの断食(隔日断食)や連続しない週2日の断食(5:2断食)などには、ほとんど利益がみられない可能性が高いという。
米国CDCによれば、4割以上の米国人が臨床的に肥満と診断される。1割は重症の肥満である。肥満は、2型糖尿病や心血管疾患、そしてある種のがんのリスクを高めることが知られている。 「肥満は特に米国で大流行しています」とチャヤ准教授は言う。「それは予防が可能な疾患です。この研究を始めた時、私たちは古代の人類が毎日食べていたわけでないことに気づきました。つまり、私たちの身体は、毎日の食事を必要とするようには進化していないということです。」 1日3食におやつという現代の食習慣は、たかだか数十年前に一般的になったにすぎない。だが、そのパターンを壊すのは容易ではない。 |
「でも、私たちの腸と脳の信号伝達システムは、このような食べ方に合せてデザインされているわけではありません」とチャヤ准教授は言う。
研究者らは、どんな場合にも最適なひとつの食事法というものは存在しない、と警告している。例えばの話、小柄で物静かな人は、体格が良い運動選手より少ないカロリーしか必要としない。食事の回数も1回に食べる量も異なるのは当然である。
ただ、今回の研究できわめて明らかだったことがひとつあったという。それは、2型糖尿病や肥満のリスクが高い人にとっては、少ない回数の高品質の食事を摂る方がリスクを下げるためには好ましいということである。
「そして夜食を絶対に避けることもです」とチャヤ准教授は述べている。「夜食はインスリンレベルを急激に上昇させるので、私たちが眠っている間、消化器が休息モードに入らずに活動することになります。朝起きた時に疲れが残っているのはそのせいです。十分な休息がとれていないからです。」
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