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公開日:2022-09-12

葉酸レベルの高い妊婦は子供の先天性心疾患のリスクが低い

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妊娠の前後に葉酸レベルが高いと、生まれてくる赤ちゃんの先天性心疾患のリスクが下がるようだ、という中国・復旦大学小児病院などによる研究結果が『内科学年報』誌に発表された。従来より高い赤血球中の葉酸レベルが推奨され、葉酸サプリメントが役立つだろうという。

妊娠を予定している女性には、神経管閉鎖障害などの先天性障害を予防するために、葉酸の通常より多めの摂取が推奨されている。これは日本も例外ではない。ただ、従来の研究は神経管閉鎖障害に注目が集まっていたため、先天性心疾患に対する予防効果については、かならずしもはっきりしていなかった。

というのも、妊婦の葉酸レベルと子供の先天性心疾患にリスクについて検討した先行研究の結果には不一致がみられていたからである。

研究チームは、ほとんどの研究において、妊婦の葉酸レベルの指標として血清中の葉酸レベルを用いていたことがその一因と考え、血清葉酸レベルとはかなり異なる場合が多い赤血球中の葉酸レベルを指標に用いることで、より確かな結果につながるのではないかと考えた。

今回、研究チームは、先天性心疾患の子供を出産した197名の女性(症例群)と、先天性心疾患のない子供を出産した788名の女性(対照群)を対象に、受胎前後の赤血球中の葉酸レベルと子供が先天性心疾患になるリスクの関係について、症例対象研究を実施した。

対象女性は全員が、上海妊娠前コホート研究の参加者であり、赤血球中の葉酸レベルは、受胎前または妊娠初期に測定されていた。子供の心疾患は、出生後の早い時期にパルスオキシメーターと心雑音の検出によって検査され、異常が見つかった子供はさらに心エコー検査を受診して先天性心疾患かどうかの確定診断を受けた。

妊婦はまた、体内の葉酸レベルが正常よりも10-35%低下することが知られている遺伝子変異であるMTHFR C677Tのスクリーニング検査も受けた。

データ解析の結果、研究チームは、先天性心疾患のある子供を出産した女性の赤血球中の葉酸レベルが、そうでない女性に比べて、有意に低いことを発見した。高い赤血球中の葉酸レベルをもつ女性は、低いレベルの女性に比べて、先天性心疾患の子供を出産するリスクが39%低かった。また女性の葉酸レベルを調節している遺伝子変異MTHFR C677Tの違いに基づいて解析した結果、赤血球中の葉酸レベルが段階的に上昇するにつれ、先天性心疾患のリスクが段階的に低下することも明らかになった。

研究チームは、先天性心疾患を予防するためには、現在主として神経管閉鎖障害の予防のために設定されているよりも高いレベルの葉酸が必要かもしれないので、さらなる研究が望まれるとしている。

出典は『内科学年報

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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