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公開日:2018-08-10

歩くスピードを上げれば、もっと長生きできるかも

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歩行速度を高めることであなたの寿命を延ばせるかもしれない、という研究結果を豪州シドニー大学の研究チームが発表した。

普段歩く時の速度が集団の平均に近い人は、よりゆっくり歩く人に比べて、総死亡リスクが20%低いことがわかったという。さらに、速く歩く人では、リスクは24%低かった。同様に、心血管系疾患による死亡のリスクについても、ゆっくり歩く人に比べて、平均的な速度で歩く人は24%、速く歩く人は21%、それぞれリスクが低かった。

高齢者においてはこの傾向がより顕著に表れ、60歳以上では、ゆっくり歩く人に比べて、平均的な速度で歩く人で46%、速く歩く人で53%、それぞれリスクが低かった。

「一般的に速く歩くとは、1時間に5-7kmの速度で歩くことをいいますが、各個人の体力レベルにも依存します。代わりの指標として、続けると息が上がるあるいは汗をかく速さといっても良いでしょう」と主任研究者のエマニュエル・スタマタキス教授は説明する。

研究チームは、英国で1994年から2008年に実施された11件の疫学調査と死亡記録をリンクさせたデータを解析した。調査では、歩行速度が自己申告されていた。研究チームは、各個人の性、年齢、BMI、総身体活動量の影響を調整して、歩行速度と死亡リスクの関係を計算した。

「歩く速さは、全ての死因による死亡リスクと関連していますが、これまでの研究では、総身体活動量として調べられることが多く、歩行速度のみに着目した研究はほとんどありませんでした」とスタマタキス教授は語っている。

「性別や肥満度には関係なく、平均的な速度で歩くこと、あるいは速く歩くことは、総死亡リスクと心血管系疾患による死亡のリスクが統計的に有意に低いことと関連していました。けれども、歩行速度とがんによる死亡のリスクの間に有意な影響があることを示唆するエビデンスは存在しませんでした。」

本研究の知見に基づいて、研究チームは、歩行速度を公衆衛生上のメッセージに取り入れるべきだと主張している。

「身体活動の一局面の効果だけを取り出して、早死リスクとの潜在的な因果関係を明らかにすることはとても難しいことです」とスタマタキス教授は言う。「因果関係があるという前提で言えば、私たちの研究結果は、歩行速度を高めることは、直接的に人々の心臓を健康にし、早死リスクを低下させることを示唆しているという、公衆衛生キャンペーン向きのシンプルなメッセージを発信するものです。」

「特に、時間がないとか歩くのに適した環境がないなどの理由で、歩行時間を増やし難い環境の人にとって、歩行速度を上げることは、寿命を延ばすための最も容易な方法のひとつである、心拍数を高める最適な選択肢といえるでしょう。」

出典は『英国スポーツ医学雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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