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公開日:2016-05-18

忙しくても大丈夫、1日わずか1分間の高強度運動で健康度アップ!

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カナダ・マクマスター大学の研究チームは、1分間の超高強度運動でも、長時間の伝統的な持久性運動トレーニングに匹敵する健康効果が得られそうだ、という研究結果を『プロスワン』誌に発表した。もう時間がないという言い訳はできなくなるかもしれない。

「この方法は、時間を最大限に効率良く使うようにできています」と筆頭研究者のマーチン・ギバラ教授は語っている。「瞬時に高強度の筋肉パワーを炸裂させることが驚くほど効果的なのです。」

今回、研究チームは、スプリント・インターバル・トレーニング(SIT)の効果を、一般的なガイドラインなどで推奨されている中強度持続性トレーニング(MICT)と比較した。

SITは、全力運動を回復のための比較的緩やかな運動を挟みながら繰り返し行うもので、典型的には1回のセッションに20-30分を要する。研究チームはこれまでの研究で、20秒×3回の全力サイクルスプリントを行う超短時間のSITプロトコールがフィットネスレベルを高めるのに有効であることを明らかにしていた。この超短時間プロトコールは全体でも10分しかかからず、2分間のウォームアップと3分間のクールダウン、そして調整運動として2分間のリカバリーサイクリングをはさんで間欠的にスプリントを行うというものだった。

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研究では、座位行動の多い男性27名を対象に、ランダムにSIT群かMICT群あるいは運動しない(対照)群の3つに振り分け、12週間にわたって週3回の介入を実施した。SIT群は上記の10分のプロトコールを使用し、MICT群は、45分間の中強度の持続的サイクリングの前後にSIT群と同じウォームアップとクールダウンを加えた50分のプロトコールとした。評価指標として、体力の目安である心肺フィットネスレベルと、身体の糖代謝の目安となるインスリン感受性などを測定した。

12週間の介入の結果、SITプロトコールは、対照群に比べて有意に、心肺フィットネスレベルを高め、糖代謝の指標となるインスリン感受性を改善した。その効果は、運動量と所要時間に5倍の違いがあったにも関わらず、MICTプロトコールの効果に驚くほど似通っていたという。

illust_114 「運動しない人の多くが、その理由として『時間がない』ことを第一に挙げますが」とギバラ教授は語っている。「私たちの研究が示しているのは、インターバル・トレーニングによって、より短時間かつ効果的に健康とフィットネスレベルの向上が図れるかもしれないということです。」

ギバラ教授は、インターバル・トレーニングの研究をこれまで10年以上も続けており、週に数分間だけの高強度運動で、長時間の持続運動と同等の健康効果をもたらすことを初めて実証した研究者でもある。長年にわたり彼の研究チームは最も時間効率の良い運動戦略を明らかにすべく様々なプロトコールの検証を続けている。

「この基本原理は、さまざまな種類の運動に適用することが可能です」とギバラ教授は言う。「お昼休みに全力で階段を駆け上るだけでも、素早く効果的に、有意な健康効果を得ることができるのです。」

研究チームは、現在のSITプロトコールはまだまだ一般人にはハードルが高いものであるとみており、今後より多くの人々が継続して容易に実行可能な、高強度だけれども全力を出し切らなくても良いタイプの運動などについても検討していきたいとしている。

 

出典は『プロスワン』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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