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公開日:2014-04-03

更年期の女性ホルモン低下を補うチームスポーツ

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女性は更年期を迎えるとエストロゲン(女性ホルモン)の分泌がしだいに低下するため心血管病リスクが上昇する。デンマーク・コペンハーゲン大学の研究チームは、定期的なチームスポーツへの参加が、血圧を下げ、閉経後の心血管病リスクの上昇を抑えることができそうだ、と『米国生理学雑誌』に発表した。

年を取るにつれて起こるさまざまな体の変化のなかでも、女性にとってとりわけ大きな意味をもつのが閉経に伴う変化である。女性の血管を老化から守るエストロゲンの分泌が、閉経によって急激に衰えると、高血圧や心血管病のリスクが急上昇することが知られている。

「閉経後の女性の血圧は、同じ年齢でまだ閉経を迎えていない女性と比べて約10%高くなります。同様に、脳卒中や心筋梗塞の原因となる動脈硬化症のリスクも高くなるのです」と、筆頭研究者のマイケル・ニーベルク博士は語っている。

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今回、研究チームは、この問題を運動によって解決しようと試みた。閉経後の女性で高まる心血管系疾患のリスクを、12週間にわたるフロアボールのチーム練習に参加することによって予防することができるかどうか検討したのである。

フロアボールは、ユニバーサルホッケーともいい、床の上でするホッケーの一種である。アイスホッケーのような激しいボディチェックは禁止されており初心者でも入りやすい競技であるという。

「フロアボールの効果は明らかでした」と主任研究者のイェンズ・バングスボー教授は語っている。

フロアボールの練習を、週2回、12週間続けた結果、参加した女性たちの健康度は明らかにアップし、最高血圧が平均4 mmHg低下した。これは脳卒中のリスクが40%低下したのと同等の効果であるという。

1396426292 他にも、血管機能を活性化する物質の生産が高まり、動脈硬化症の血中指標が20%低下するなど、いくつものポジティブな効果が観察された。

「この結果は、まさにチームスポーツによる継続的な運動習慣が、副作用の多いホルモン療法に悩む更年期の女性にとって、理想的な治療法のひとつになりうる可能性を示しています」とニーベルク博士は語っている。

もちろんこの効果は、団体で行うスポーツに限られるものではない。

しかし、チームスポーツには、個人競技にはないもうひとつの大きなメリットがあるという。フロアボールのような団体競技に参加するのはなにより楽しい経験になるのである。これは非常に重要なことだ、とニーベルク博士は指摘する。というのも、参加者には、それまでに高い強度の運動経験のない女性が多いからだ。

フロアボールの練習はかなりハードである。この練習のハードさが、わずか12週間(3か月)という短期間で有意な改善を達成できた理由だが、それを実現可能にしたのは、他の女性と共に喜びや楽しさを分かち合いながらトレーニングを進められるというチームスポーツのよさがあったからに他ならないというわけだ。

実際、参加者の多くは研究終了後もフロアボールを続ける意思を示したという。

どのようにしたら運動のモチベーションを維持し続けることができるか、というのは、健康維持のために運動をする場合には常についてまわる課題だが、チームスポーツはその答えの一つといえるだろう、とバングスボー教授はコメントしている。

出典は『米国生理学雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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