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公開日:2013-11-06

リケジョ(理系女子)はスポーツで作られる!?

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日本でいえば小学校高学年にあたる11才の頃から、定期的に活発な運動をしている女子は学校の成績が良く、特に理科の成績にそれが顕著だった、というイギリスの研究結果が『英国スポーツ医学雑誌』に発表された。

運動の強度が増すほどより高い効果が認められ、その効果は少なくとも中学卒業(16歳)まで続いた。男子にも同様の効果が認められたが、女子ほどではなかったという。

今回報告された研究結果は、イギリスで1990年代に始まった小児を対象とした大規模な疫学調査(エイボン両親と子供縦断的研究(ALSPAC))のデータを分析したもの。この疫学調査は、イギリス南西部で1991-92年に生まれたおよそ1万4千名の男女の赤ちゃんの健康状態を追跡調査している。

調査では、参加者中4,755名(45%が男子)が、11才のときに3-7日の期間をかけて日々の身体活動の時間と強度を加速度計(活動量計)で測定した。加速度計というのは、腰に装着する万歩計が進化したもので、歩数だけでなく、全身の動きの持続時間と強度を詳細に記録し続け、パソコンにデータを転送・蓄積することができる。

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測定の結果、対象になった11才の子供たちが1日にする中程度から高強度の身体活動は、男子で平均29分、女性ではわずか18分しかなく、本来望ましいとされる60分にはまったく足りていなかった。

1383287744 学業成績については、義務教育の一環として実施される全国統一学力試験の11才、13才、15/16才(卒業試験)における国語、数学、理科の三教科の結果が調べられた。出生体重、母の出産年齢、妊娠中の魚介類の摂取量、喫煙の有無、子供の思春期開始時期、調査時の体重、社会経済的要因など、成績に影響を与える可能性のある因子の影響を除いてデータ分析が行われた。

その結果、11才の時点では、三教科すべてにおいて学業成績は中~高強度運動の時間が長い者のほうが良いという傾向が見られた。特に活発な女子が理科で好成績を収めていた。この傾向は13才の時点でも同様に観察されたという。

15/16才の試験成績も活発な身体活動の効果が見られ、11才の時点での中高強度の運動量に応じて、男子は1日当たり17分、女子は12分増えるごとに、試験成績が1ランクずつ高くなった。ここでも女子の理科の成績への影響がもっとも顕著だったという。

「この知見が重要なのは、イギリスを含めたヨーロッパ全体で科学分野への女子の就業率を高めることが重要な政策課題になっているからです」と著者らはコメントしており、さらにこの結果は、身体活動が脳の発達に与える影響には男女差が存在することを示唆するものだとも指摘している。

子供たちがみな推奨される60分間の中程度から高強度の身体活動を毎日するようになれば、きっと学業成績に見違えるような効果が現れるに違いないと、著者らは述べている。

そして今後、更なる研究によって同様の効果が認められれば、体育の授業はもちろん公衆衛生政策にも生かされることになるだろう、と結論付けている。

出典は『英国スポーツ医学雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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