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公開日:2021-12-20

心臓を守る食事の心得10か条

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米国心臓協会は、心臓の健康を守るための食事に重要な10のポイントを発表した。個々の栄養素や食品ではなく、食事全体でみることの重要性と、人生のすべてのステージにおける栄養の役割が強調されている。

このガイダンスは、生涯を通じて心臓を守る食生活の有益さと、質の劣る食事が心血管疾患や死亡のリスクを高めることを、最新の科学的根拠に基づいて解説している。ここでは、個々の食品が身体に「良い」とか「悪い」というのではなく、食生活の全体を考えることの重要性が強調されている。それは、日々の食生活において、常に多彩な食品・飲料をバランスよく豊富に組み合わせて食べることである。

栄養教育の重要性も強調されている。幼いころから生涯を通じて命を守るための食事を学ぶだけでなく、それを困難にする社会経済的状況にあってもそれを維持し続けることが重要であるからだ。

「私たちは、年齢に関係なく心臓を守る食生活によって利益を得ることができます。それは個人の好き嫌いやライフスタイル、民族文化的な違いを超えてだれもが実践できるものなのです。それは難しいものでも、時間やお金がかかるものでも、魅力に乏しいものでもありません」とガイダンスの責任者でタフツ大学のアリス・H・リヒテンシュタイン博士は語っている。

またガイダンスでは、料理を家で作るか、レストランに行くか、あるいはオンラインで注文したりコンビニで購入するかにかかわらず、心臓を守る食生活は常に実行可能であると強調している。

「あなたは、さまざまなライフスタイルに心臓を守る食生活を適用することが絶対にできます」とリヒテンシュタイン博士は言う。「レストランで食べるのが習慣の人でも、最初プランを練るのに少し時間がかかるかもしれませんが、すぐに習慣になるでしょう。」

心臓を守る食生活の10か条は以下の通り。

1.健康的な体重を維持するために、食事と運動のバランスを考慮する
2.必要な栄養素がサプリではなく食品からすべて摂れるように、様々な種類の野菜と果物をたくさん食べる
3.全粒穀物または主に全粒穀物から作られた食品を選択する
4.植物性たんぱく質(ナッツや豆類)、魚介類、低脂肪または無脂肪乳製品、赤身肉など脂身の少ない、あるいは高食物繊維のたんぱく質源を多く摂り、
脂身の多い赤肉や加工肉の摂取は制限する
5.オリーブ油やヒマワリ油などの液体の非熱帯植物油を使う
6.超加工食品よりもできるかぎり最小限に加工された食品を選ぶ
7.砂糖を添加した飲料・食品の摂取を最小限にする
8.減塩または無塩食品を選ぶ/準備する
9.飲酒を制限する。飲酒習慣がないなら、飲み始めない
10.食品が調理/摂取される場所に関わらず、このガイダンスにしたがう

加工食品には、燻製、塩漬け、または保存料を添加された肉や、塩、砂糖、脂肪を添加した植物性食品が含まれる。加工肉は塩分、飽和脂肪、コレステロールの高いものが多い。加工肉を他のたんぱく質源で置き換えることは死亡率の低下につながるという研究結果が報告されている。超加工食品は、塩や砂糖、脂肪が含まれるというだけではなく、化学合成された着色料、着香料、保存料などを用いて貯蔵性や、食感、嗜好性を高めている。

■心臓を守る食生活は生涯にわたって好影響を及ぼす

栄養は、全人生を通じて心臓の健康に重要な役割を担っている、とガイダンスは述べている。心臓を守る食生活と健康的な生活習慣(定期的な運動やタバコを避けることなど)は、「悪玉」コレステロールや高血圧、肥満、2型糖尿病、メタボリック症候群など(これらはすべて心臓病のリスクを高める)を避けるために幼いころから生涯を通じて順守すべきものである。

妊娠前から妊娠中にかけての女性の心臓を守る食生活は、心臓病のリスクを下げるだけでなく、子供の不健康な体重増加を予防することができる。子供の肥満を避けることは、生涯を通じて心臓の健康を守るためのカギである。年を重ねてからも、心臓を守る食生活は、加齢に伴う認知機能の低下を遅らせることがわかっている。

「心臓を守る食生活はすべての年齢層の人々に有益であることが研究で示されています」とリヒテンシュタイン博士は言う。「同様に、子供から大人まで自分で食事を決めることができるための教育も重要です。」

■心臓を守る食生活は環境にも優しい

今回のガイダンスで、米国心臓協会は初めて持続可能性に言及した。一般に動物性食品、特に赤肉(牛肉、豚肉、ラム肉など)は、水と土地の使用に関して環境への影響が最も大きく、温室効果ガスの排出に大きく貢献する。したがって、肉から植物たんぱく質にシフトすることは、個人の健康だけでなく環境を改善するのにも役立つ。

「本ガイダンスが心臓の健康だけでなく、持続可能性とも一致していることを認識することが重要です。個人と環境の双方にメリットがあるのです」とリヒテンシュタイン博士は述べている。

ただし、声明では、すべての持続可能な食事が心臓に良いとは限らない、とも指摘している。たとえば、植物ベースの食事でも、大量の精製穀物や添加糖を含むものは、2型糖尿病と心臓病のリスクを高めるのである。

出典は『循環器

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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