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公開日:2020-04-14

屋内スポーツの選手はビタミンDが不足している

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日光の当たらない屋内スポーツ環境は、大学アスリートの体内のビタミンD状態を悪化させるリスクが高く、サプリメントだけでそれを完全に補うのは難しいようだ、という米国ジョージメイソン大学の研究結果が発表された。

ビタミンDは、骨の健康維持に必要な栄養素であり、不足すると骨が脆くなり将来の骨粗鬆症につながるだけでなく、がんなどの疾患予防にも重要であることが指摘されている。日光で作られるので、日照時間の少ない高緯度地方の冬季には、特に不足し易い。屋内スポーツでもそのリスクが高まる。

「多くのアスリートが現在では栄養サプリメントを使っていますが、最適な摂取量や安全性についてはよくわかっていません」と共同研究者のシーナ・ギャロ助教授は語っている。「先行研究は、アスリート以外の人や高齢者を対象としたものが多く、あまり参考になりませんでした。」

研究チームは、ジョージメイソン大学バスケットボールチーム(パトリオッツ)の選手男女20人の血中ビタミンD濃度を測定した。そして、2018-2019年のシーズン中に、血中ビタミンD濃度のレベルに応じて高用量あるいは低用量のビタミンDサプリメントを摂取させ、その効果を検討した。

シーズンを通じて、選手は定期的に健康チェックされ、サプリメントの摂取状況は各チームのトレーナーによって確認された。

「選手20人中13人(65%)は、最初の測定時にすでにビタミンDが不足していました」と主任研究者のマーガレット・ジョーンズ教授は語っている。「この結果は、米国その他9カ国の2千人のアスリートを対象とした最近のメタ分析の結果でやはり不足者が56%であったことと一致しています。」

ビタミンD不足の選手13人は、シーズンを通じて1日10,000IUのサプリメントを摂取した。ビタミンDが不足とはいえないが不十分だった5人は、1日5,000IUを摂取した。残る2人は、ビタミンDが十分だったのでサプリメントは摂取しなかった。

シーズン終了後の追跡調査で、不足群は1日10,000IUのサプリによって、血中レベルが高まったことがわかった(ただし十分な状態になったのは1人のみだった)。不十分群は、1日5,000IUのサプリによってほぼ現状を維持した。サプリメントを与えられなかった十分群の2人は、血中レベルが大きく低下したという。

研究チームは、1日10,000IUのビタミンDサプリメントは、ビタミンD欠乏のバスケットボール選手の欠乏を緩和する働きがあるが、それだけでは全員が十分なレベルには達しないようである、と結論付けた。

「小規模の予備的研究ではありますが、今回の結果は、高度に訓練された米国大学リーグのバスケットボール選手においても、ビタミンD不足の者が高い割合で存在していることを実証したものです」と共同研究者のアンドリュー・ジャギム博士は語っている。「私たちは、本研究の著者として、より大規模の追試と、簡便なスポーツ選手のビタミンD欠乏の検査法の開発が必要であることに同意します。」

出典は『栄養素

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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