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公開日:2022-12-19

健康なプラントベースの食事が男性の大腸がんリスクを下げる

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全粒穀物、野菜、豆類などの健康的な食品が豊富なプラントベースの食事は、精製穀物、フルーツジュース、添加糖などの多い不健康なプラントベースの食事に比べて、男性の大腸がんリスクを低下させる効果があるようだ、という研究結果が『BMC医学』誌に発表された。

「大腸がんは世界で三番目に多いがんであり、男性の23人に1人、女性の25人に1人が罹るといわれています。これまでの研究では、プラントベースの食事が大腸がんの予防に有効であるといわれてきましたが、食品の栄養学的な品質の影響についてはかならずしも明らかではありませんでした。私たちの研究結果は、健康的なプラントベースの食事が、大腸がんのリスクを下げるのに有効であることを示唆するものです」と責任著者の金知慧教授は述べている。

韓国の慶熙大学の研究チームは、米国人男性79,952名のデータを解析して、最も健康的なプラントベースの食事をする人は、最も健康的でないプラントベースの食事をする人に比べて、大腸がんの発症リスクが22%低いことを発見した。けれども、米国人女性93,475名のデータの解析からは、プラントベースの食事の健康度と大腸がんリスクの関係はみつからなかったという。

金知慧教授は「私たちは健康的なプラントベースの食事を構成する果物、野菜、全粒穀物などに含まれる抗酸化物質が、がんにつながる慢性的な炎症を抑制することによって大腸がんのリスクを低下させるのだろうと推測しています。男性はもともと大腸がんリスクが女性より高い傾向にあるので、女性ではなく男性にのみ、より健康的なプラントベースの食事を食べることの効果が現れたのだと考えています」と述べている。

研究チームはまた、男性におけるプラントベースの食事の栄養学的な品質と大腸がんリスクの関係は、人種や民族によっても異なることを発見した。日系米国人においては、最も健康的なプラントベースの食事をした男性は、最も不健康なプラントベースの食事をした男性に比べて、大腸がんのリスクが20%低かった。白人においては、同様に大腸がんのリスクは24%低かった。けれども、アフリカ系米国人、ラティーノ、ネイティブハワイアンの男性においては、プラントベースの食事の品質と大腸がんのリスクに関連がみられなかった。

金知慧教授は「私たちは、プラントベースの食事と大腸がんリスクの間の関係は、日系米国人と白人においてもっとも強くみられることを明らかにしました。これは他の大腸がんリスク因子が人種や民族によって異なるためだと思われますが、これを確認するためにはさらなる研究が必要です」と述べている。

プラントベースの食事と大腸がんリスクの関係を明らかにするために、研究チームはハワイとロサンゼルスで1993年から1996年に登録された男女のデータを解析した。登録時の男性の平均年齢は60歳、女性は59歳だった。参加者の30.2%が日系米国人、25.8%が白人、24.0%がラティーノ、13.0%がアフリカ系米国人、7.0%がネイティブハワイアンだった。

参加者は、自分の食事について自己申告した。研究チームは全粒穀物、果物、野菜、豆類などを健康的なプラントベースの食事に分類し、精製穀物、フルーツジュース、添加糖などを不健康なプラントベースの食事に分類した。2017年までの追跡調査で、4,976名(2.9%)が大腸がんの診断を受けた。研究チームは、統計処理によって、参加者の年齢、大腸がんの家族例、BMI、喫煙歴、飲酒暦、身体活動、マルチビタミンの摂取、毎日のカロリー摂取量など、大腸がんのリスクに影響を及ぼすその他の因子の影響を排除した。女性については、ホルモン置換療法についても考慮した。

研究チームは、本研究が観察的な研究であることから、プラントベースの食事と大腸がんリスクの間に厳密な因果関係を立証するものではないことに注意を喚起している。また、魚介類や乳製品など大腸がんのリスクを低下させるプラントベース以外の食品については今回考慮されていない。加えて、食事調査は研究開始時に1回限りしか実施されていないため、参加者の生涯の食生活を反映していない可能性がある。

出典は『BMC医学

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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