公開日:2014-09-17
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低炭水化物ダイエットは、減量だけでなく心臓血管系疾患のリスクを下げるためにも、低脂肪ダイエットより効果的かもしれない。
米国チュレーン大学などの研究チームは、ご飯やパンなど炭水化物の摂取を制限する低炭水化物ダイエット(別名・糖質制限ダイエット)が、減量を効率よく達成できるだけでなく、心臓や血管の健康にも良いようだとする研究結果を『内科学年報』オンライン版に発表した。
心臓血管系の病気(心臓マヒや脳卒中)は米国人の全死因の1/3を占めている。日本でも4人に1人がこれらの病気で死亡する。肥満は、これらの病気のリスクを高める要因のひとつであり、ダイエットをすることによって、そのリスクも下がることが期待されている。 |
医学的に認められたダイエットは、三大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)もしくはその特定成分の摂取に着目して分類されることが多い。もっともおなじみの方法は、脂質の摂取を制限する「低脂肪ダイエット」であり、次に有名なのが炭水化物(糖質)の摂取を制限する「低炭水化物(糖質制限)ダイエット」である。最近では、炭水化物と脂質の両方を制限する「高たんぱく質ダイエット」にも注目が集まっている。血糖値が上がりやすい炭水化物だけを制限する「低グリセミックインデックス(GI)ダイエット」などもある。
中でも、低炭水化物ダイエットは米国ではセレブなどにも人気のダイエット法のひとつといわれ、アトキンス・ダイエットやゾーン・ダイエットをはじめとしてさまざまな方法が提案されており、減量に有効であることは既に証明済みと考えてよい。ただ、炭水化物に代えて通常は脂肪を多量に摂ることになるので、心臓や血管に対する健康影響についての懸念があった。
今回研究チームは、低炭水化物ダイエットと低脂肪ダイエットについて、減量だけでなく心臓血管系への健康影響の比較を行った。
心臓血管疾患と糖尿病の既往のない148人の肥満の男女を集めて、ランダムに2群に分けた。一方の人々は低炭水化物ダイエット(1日40g以下)、もう一方の人々は低脂肪ダイエット(1日脂肪エネルギー比率30%以下、飽和脂肪酸7%以下)を割り当てられ、1年間にわたって定期的に個人及びグループで食事カウンセリングを受けた。
1日の総摂取エネルギー量を2,000kcalとすると、炭水化物40g(160kcal)はエネルギー比率8%に相当する。通常の日本食では炭水化物が55-60%以上を占めるので、これがいかに少ない量かわかるだろう。 データ解析の結果3,6,そして12か月の時点で、低炭水化物群は、低脂肪群よりも常に平均体重減少量が大きかったことが明らかになった。12か月後には、低炭水化物群の参加者は、低脂肪群に比べて体重減少量が平均で3.5kg多かった。3か月および6か月の時点では、低脂肪群のほうがウエストが細くなっていたが、12か月後には、両群のウエストに差はなくなっていた。 |
また全体的にみて、心臓血管系の疾患リスクの血中指標は、低炭水化物群のほうでより低下していた。低脂肪群に比べて、体脂肪率が-1.2%少なく、トータル-HDL-コレステロール比率が-0.44低く、中性脂肪が-0.16 mmol/L低く、HDL-コレステロールの濃度は大幅に上昇(7.0 mg/dL)していたという。これは低炭水化物ダイエットのほうが低脂肪ダイエットよりも心臓や血管に良い健康影響を持つことを示唆している。
低炭水化物ダイエットは、低脂肪ダイエットより効果的に体重を減らせるだけでなく、心臓血管系の疾病リスクも下げることができるようだ、と研究チームは結論している。
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