公開日:2023-03-27
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一日おきの断食を週五日の運動と組み合わせることにより、脂肪肝患者の体重と代謝指標が改善された、という研究結果が『細胞代謝』誌に発表された。
米国イリノイ大学シカゴ校の栄養学研究チームは、非アルコール性脂肪肝患者80名を対象に、一日おきの断食と運動が病態にもたらす効果を検討した。
参加者は、ランダムに4群に振り分けられ、以下のいずれかの行動を3か月にわたって実行した。
(1)一日おきの断食群(御馳走日と断食日を交互に繰り返す。即ち、ある日は制限なしで食べ、次の日は 一日の総摂取カロリーを500kcal以下に制限した) 、(2)有酸素運動群(研究室でエリプティカルマシンを毎日1時間、週5日使用した)、(3)一日おきの断食+有酸素運動群、(4)行動を変えない対照群。食事群の参加者は食物摂取量を追跡された。 |
その結果、3カ月にわたって一日おきの断食と有酸素運動をした群(3)では、糖尿病の改善を示すインスリン感受性の上昇とともに、脂肪肝、体重、そして肝臓機能の指標であるALT(アラニントランスアミナーゼ酵素)がすべて減少した。
非アルコール性脂肪肝は、飲酒をしない、あるいは少ししか飲まない患者の肝臓に脂肪が蓄積し炎症が起こる病気である。肥満成人の65%がこの病気を持っていると言われており、2型糖尿病やその指標であるインスリン抵抗性の発現と強く関連している。もしそのまま放置すると、肝硬変や肝不全といったより深刻な病気を併発する可能性があるが、現在のところ有効な治療薬は限られている。
主任研究者のクリスタ・ヴァラディ教授は、今回の研究結果について「かなり意外なものでした」と述べている。
「私たちが研究で比較したグループの中では、明らかに一日おきの断食と有酸素運動を組み合わせたグループで最も強い改善効果がみられました。断食のみ、あるいは運動のみのグループには、そこまで強い効果はみられなかったのです。これは、脂肪肝のような慢性疾患との戦いにおいて、この食事と運動という二つの比較的安価な生活習慣改善が如何に重要であるかを示すものといえましょう。」
今回用いたこの一日おきの断食というダイエット法が、他のダイエット法に比べて良いか悪いかはわからないけれども、途中で脱落した参加者がほとんどいなかったのは驚きだった、とヴァラディ教授は述べている。 「これまでの研究では、一日おき断食も運動も継続するのは困難で、かなりの数の参加者がドロップアウトするのが常でした。ところが、今回の試験では、極めて高い順守率となったのは、とても興味深いことです」とヴァラディ教授は言う。教授は、新型コロナウイルスが世界を襲った2020年に本研究を開始したことが、今回のような高い順守率につながったのだろうと考えているという。 |
今回の試験では安全性の高さが証明されたことも重要だという。3か月間の介入中に深刻な有害事象は一件も報告されなかった。
ヴァラディ教授は、脂肪肝の患者にとって、今回の方法が、時に重篤な副作用をまねく薬物を使わずに、だれでも手軽に実行できる、好ましいオプションになるだろう、とコメントしている。
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