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公開日:2013-05-21

不眠に悩む男性に前立腺がんのリスク

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現代人にとって不眠症は極めてありふれた病気であり、日本人の5人に1人がなんらかの睡眠障害があるという調査結果もある。特に高齢者には多いようだが、眠れないだけでもつらいのに、今回、不眠が前立腺がんのリスクを2倍に高めるかもしれないというアイスランドの研究結果が報告された。

「睡眠障害はときとして重大な結果をもたらします」と、この研究を実施したアイスランド大学のシグルザルドッティル医師は語っている。「過去の研究では、不眠の問題を抱える女性の乳がんリスクが高まることは明らかなっていましたが、不眠の男性と前立腺がんの関係についてはよくわかっていませんでした。」

夜間労働に起因する睡眠障害と前立腺がんについての過去の研究がいくつかあるものの、それらの結果は互いに矛盾するものであったことから、シグルザルドッティルらの研究チームは、前立腺がんに与える不眠の影響を調べることにしたという。

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研究チームは、アイスランドの首都レイキャヴィークで2002年に始まった疫学調査の参加者から2,102名の男性高齢者を選び、睡眠障害に関する質問紙に回答してもらった。その質問は、4つあり、1)睡眠導入剤を服用しているか? 2)眠りにつくことに問題があるか?(入眠障害) 3)夜中に眼が覚めて朝まで寝付けないことがあるか?(中途覚醒) 4)朝早すぎる時間に眼が覚めて再び眠れないことがあるか?(早期覚醒) というものだった。

1369114796 調査の結果、参加者の8.7%が深刻な睡眠障害を、5.7%が極めて深刻な睡眠障害を抱えていることがわかった。

次に、研究チームは、その後5年間にわたって参加者を追跡調査した。すると全体の6.4%にあたる135名の男性が前立腺がんの診断を受けた。

結果を解析したところ、深刻な睡眠障害があると答えた人は、障害のない人を1とすると、深刻度に応じて1.7~2.1倍も前立腺がんになるリスクが高まっていたという。

悪性度の高い進行性の前立腺がんになる確率はさらに高く、特に極めて深刻な睡眠障害のある人が進行性の前立腺がんになるリスクは、3.2倍に高まっていた。

睡眠障害の理由がそもそも前立腺肥大や隠れた前立腺がんに由来するものだった可能性もあるため、研究チームは、夜間頻尿の症状のあった者を除外して再解析したが、結果に変化はなかったという。つまりがんが睡眠障害を起こすのではなく、睡眠障害ががんを起こすという可能性がより高まったといえる。

今回の調査結果は対象者が2千人で追跡期間も5年と短いので、もっと大規模で長期にわたる疫学調査によって追試される必要があるだろう。期間が長くなればそれだけがんの発症者が増えてデータの信頼性が高まるからだ。

シグルザルドッティル医師は、「前立腺がんは男性の死因の上位を占める重要な病気であり、しかも不眠症は多くの男性がかかるきわめてありふれた病気です。もし私たちの結果がより確実なものとわかれば、前立腺がん予防のために睡眠問題の解消が重要なポイントになることは間違いないでしょう」とコメントしている。

出典は『がん疫学バイオマーカー&予防』』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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