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公開日:2025-12-23
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一般的に身体に良いとされるプラントベース(植物性)の食品であっても、それが工業的に高度に加工された超加工食品だとしたら、脳卒中や心臓マヒのリスクが高まるようだ、という研究結果が報告された。
| 先行研究では、超加工食品をたくさん食べる人は心血管系疾患のリスクが高まる、という結果と、栄養バランスのとれたプラントベース(植物性)食品をたくさん食べる人はリスクが低下する、という結果が報告されている。では、ブラントベースの超加工食品の場合にはリスクはどう変わるのだろうか。
今回研究チームは、栄養バランスだけでなく食品の加工度も考慮に入れて、植物性食品と動物性食品の心血管系疾患リスクに及ぼす健康影響について検討した。 |
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研究者らは、フランスで実施中の疫学研究である「栄養ネット健康コホート」の成人参加者63,835人のデータを解析した。参加者は、平均9.1年間にわたって追跡調査された。最も初期から参加している者では、その期間は15年に及んだ。
参加者の食生活は、少なくとも3日分の食品・飲料の摂取状況が、オンラインのツールを用いて調べられた。研究者らは、この詳細な食事記録から、参加者の植物性食品と動物性食品の摂取の度合いを、その栄養価だけでなく工業的加工レベルも考慮しながら分類集計していった。
データ解析の結果、研究チームは、栄養の質が高く(低脂肪、低糖類、低塩分)、加工レベルが低いプラントベース食品を豊富に摂取する成人は、動物性食品が豊富な食事をする成人に比べて、心血管系疾患の発症リスクが約40%低いことを発見した。
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意外なことに、栄養の質が高くても超加工食品に分類されるプラントベース食品(全粒パン、市販のスープ、調理済みのパスタ、市販のドレッシング付サラダなど)をたくさん食べている人の場合には、心血管系疾患の発症リスクの低下はみられなかった。
さらに、栄養の質が低い超加工食品に分類されるプラントベースの食品(ポテトチップス、果汁入りの加糖飲料や炭酸飲料、チョコレート菓子やケーキ、砂糖入りの朝食用シリアル、塩味のビスケットなど)を大量に摂取している人は、栄養の質が高く、加工レベルの低い食品を豊富に摂取している人と比べて、心血管系疾患の発症リスクが40%高いことが明らかになった。 明らかにこれらの結果は、心血管疾患に及ぼす食事のリスクを考えるとき、植物性か動物性かの違いだけでなく、栄養の質はもちろん、食品の工業的加工度についても考慮することが重要であることを示唆するものである。 |
公衆衛生施策や栄養政策の担当者が、栄養の質が良く、工業的加工度が最小のプラントベースフード(脂肪、塩分、糖類、食品添加物を加えていない、新鮮な、あるいは冷凍製品や高品質の缶詰製品)を推奨するための、新たな根拠となるだろう、と研究者らは結論付けている。
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