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公開日:2018-10-24

「健康寿命の延伸」に注目すべき時が来た!

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医師や科学者、公衆衛生学者らは、人間の寿命を限界まで延ばしたことに対する勝利宣言をすべきであり、今後は「健康寿命の延伸」に傾注していくべきだ、という米国イリノイ大学の疫学者S・ジェイ・オルシャンスキー教授の提言が『米国医学会誌(JAMA)』に発表された。

これからは、フレイル(加齢によって筋力や認知機能が低下した脆弱な状態)や糖尿病・がんなどの慢性疾患で特徴づけられる人生の「レッドゾーン」に焦点を当て、何歳まで生きるかではなく、何歳まで「健康」に生きるかという、いわゆる「健康寿命の延伸」に注目すべきだというのである。

オルシャンスキー教授は、人間の平均寿命はほぼ上限に達しており、さらに延びる余地はあまりないと言う。かつて20世紀が始まったころの先進国の平均寿命は40-50歳に過ぎなかったが、上下水道の整備といった主として公衆衛生上の努力の結果、死亡率が激減し、平均寿命が現在のように大幅に延長された。最近では平均寿命の延びはかなり鈍化しており、結局人類の歴史を通じて、最大寿命は変わらなかったことがはっきりした。

先進国では現在、生まれた子供の96%が50歳以上まで生き、84%が65歳以上まで生きる。全ての死亡の75%が65歳から95歳の間に起きる。

教授は、人間の寿命が無限に延びる可能性があるという最近メディアを賑わせた議論に言及している。

「ヒトの最大寿命について最近多くのニュースが取り沙汰されています。研究者の中には、ヒトの寿命の潜在的な可能性は無限大であると主張する者もいます。けれども、我々の肉体の多くの部分が寿命を持つように生物学的にデザインされています。彼らは単に理論的な可能性を表現しているに過ぎません」とあるシャンスキー教授は述べている。

現在利用可能な科学や医療に基づけば、人間の寿命の大幅な延長は今世紀中には難しいだろう、と教授は主張する。

「加齢生物学において将来的にいくつものブレークスルーがあれば、人間が健康により長生きできるようになるだろう、という楽観論にも根拠はあります」と教授は言う。「何人かの専門家は、高齢者の死亡率が頭打ちになれば、平均寿命は延び続けるだろうと主張します。けれども、この主張は、誰か1人が123歳まで寿命を1年延長するためには、非現実的なほど多くの人(推定262,200人)が105歳まで生きなければならない、という事実によって挑戦を受けているのです。」

それに、極端に長い寿命の欠点として、病気や障害は歳を取るほど蓄積されていく傾向があるという問題が存在する。

「あなたは、100歳を超えて、その後の20年間を苦痛と疾病にまみれて生きたいとは、たぶん思わないのではないでしょうか」とオルシャンスキー教授は言う。「理想をいえば、私が『レッドゾーン』と呼ぶ人生の最終局面における苦しい日々はできる限り短くしたいでしょう。私たちは、健康に生きるということを考えずにただ寿命の延伸のことだけを考えるわけにはいかないのです。」

加齢を標的にした臨床試験への取り組みはすでに始まっている。「それが、現在の人間の寿命を限界づけている生物学的バリアーを科学が超えて進むための唯一の方法でしょう。単なる寿命の延伸はもはや医学の主要な目標ではありません。今必要なことは、如何に健康寿命を延ばしていくかということなのです」とオルシャンスキー教授は語っている。

出典は『米国医学会誌(JAMA)』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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