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公開日:2017-08-24

ルテインが認知機能の低下を抑えてくれる

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ホウレンソウやケールは、身体を健康に保ちたい人々に好んで食べられる食材だが、ボケ防止にも有効かもしれない、という米国イリノイ大学の研究結果が発表された。

研究チームは、25-45歳の60名を対象に調査した結果、体内のルテイン濃度が高いことと神経活動の高さには関連がみられ、年齢よりも若い反応性を保っていることを発見したという。ルテインは、緑の葉物野菜、たとえばホウレンソウやケール、そしてアボカドやタマゴなどにも含まれている食品の機能性成分である。

「緑の葉物野菜やタマゴ、アボカドといった栄養豊富な食材を食べる理由がまたひとつ増えたというわけです」とイリノイ大学のナイマン・カーン教授は語っている。「私たちは、こうした食材がほかにも健康効果を持っていることを知っていますが、今回の結果では認知機能にも良い影響を及ぼすことが示唆されました。」

いままでの研究では、すでに認知機能が衰え始めた高齢者が対象になることが多かったが、今回研究チームは20代から40代の若い人々を対象にルテインの効果を検証した。

「だれでも年をとれば認知機能は衰えます。けれども、認知機能の低下はもっと若いころから始まることが最近の研究でわかってきました。30代でも明らかな違いがみられるのです」と筆頭研究者のアン・ウォーク博士は語っている。「私たちが知りたかったのは、食事が生涯を通して認知機能に及ぼす影響の程度です。もしルテインが認知機能の低下を抑えるなら、私たちはルテインの豊富な食材の摂取をそれが最大の効果を与える年齢の人々に奨めるべきです。」

ルテインは、β-カロテンなどと同じカロテノイドの一種で、ヒトが自分では作ることができないので、食事を通じて体内に摂取する必要がある。ルテインは脳だけでなく、眼にも蓄積することから、研究チームは、それを測定することで、侵襲的な方法に頼らなくても、体内のルテインレベルを推定することが可能である。

研究チームは、フリッカ光への眼の反応からルテインレベルを測定し、その後、脳波計で刺激に対する参加者の脳神経の反応速度を測定した。

「ルテインレベルの高かった、より高齢の参加者の脳神経の電気的な反応性は、ルテインレベルの低かった、より若年の参加者のそれと同等にみえました」とウォーク博士は言う。「ルテインが明らかになにか脳神経に対して保護的な役割を担っていることが、今回のデータから明らかになったということです。」

研究チームは、ルテインの豊富な食材を摂取することで体内のルテインレベルを高め、それが認知的パフォーマンスの変化と関連していることを証明する臨床試験を現在実施中であるという。

「本研究では、私たちはヒトの注意力に焦点を当てていますが、私たちはまた、記憶力や学習能力に対するルテインの効果にも興味を持っています」とカーン教授はコメントしている。

出典は『加齢神経科学の最前線』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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