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2020-04-01

眠れないときはプレバイオティクスが役立つかも

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プレバイオティクスと呼ばれる特定の食物繊維が、ストレスを緩和して、心地よい眠りを提供してくれるかもしれない、という米国コロラド大学の研究結果が『サイエンティフィックレポート』誌に発表された。

恐らくほとんどの人が、プロバイオティクスという言葉は聞いたことがあるだろう。ヨーグルトなどの醗酵食品に入っている腸にやさしい微生物、いわゆる善玉菌のことである。

一方、プレバイオティクスというのは、それとは全く異なる。言葉は似ているがそれは微生物ではない。それは食物繊維の一種で、腸内細菌がそれを食べて、我々の身体によいものを作り出す素材となる。セイヨウネギ、アーティチョーク、タマネギ、特定の全粒穀物などの多くの繊維質の食品に豊富に含まれている。

筆頭研究者のロバート・トンプソン博士は語っている。

「もっとも重要なことは、このタイプの食物繊維が、単に便のかさを増して自然な便通に寄与するだけではないことです。それを私たちの腸内に棲む細菌が食べて、さまざまな生理活性物質を作り出し、それが私たちの脳や行動に影響を及ぼすという共生関係が成り立っているのです。」

今回研究チームは、思春期の雄ラットを用いた動物実験で、通常のエサかプレバイオティクスを混ぜたエサを食べさせてから、ストレスを与え、それが睡眠に及ぼす影響を調べた。

その結果、プレバイオティクスが豊富な食事は、ノンレム睡眠(深い眠り)を増やしたが、ストレスを加えられると、ストレスからの回復に重要なレム睡眠(浅い眠り)の割合が増すことがわかった。

通常のエサを食べたラットは、ストレスを受けると体温の変動が不自然に平坦化し、腸内細菌叢の多様性が低下した。けれども、プレバイオティクスを食べたラットでは、こうした悪影響が緩和された。

次に研究チームは、プレバイオティクスがどのように働くかを知るために、ラットの糞便中に含まれる、腸内細菌がプレバイオティクスから作り出したメタボローム(全代謝産物)を測定した。

すると、プレバイオティクスを食べたラットのメタボロームは、通常のエサを食べたラットのそれとはまったく異なるものであることが明らかになったという。そこには、腸-脳アクシス(軸)と呼ばれる信号経路を通じて脳と行動に働きかける脂肪酸、糖質、ステロイドなどが豊富に含まれていた。

ストレスを受けた後にはメタボロームにはさらに変化がみられたという。

たとえば、通常のエサを食べてストレスを受けたラットからは、睡眠を妨害すると思われるアロプレグナノロン前駆体とケトンステロイドが多量に検出されたが、プレバイオティクスを食べたラットでは検出されなかった。

「私たちの結果は、腸の細菌がストレスと睡眠に影響を及ぼす新しい信号経路の存在を示唆しています」と主任研究者のモニカ・フレッシュナー教授は語っている。

ところで、それならプレバイオティクスを豊富に含む食品をたくさん食べれば、それが安眠を促進してくれるのだろうか。

どうもそれは難しそうだ、とトンプソン博士は言う。「山のようなレンズ豆とキャベツを丸ごと食べないと同様の効果は得られないでしょう。」

実験でラットは、レンズ豆やキャベツに含まれるガラクトオリゴ糖、甘味料としても使われるポリデキストロース、母乳成分のラクトフェリン、そして乳製品に含まれる乳脂肪球状たんぱく質という4種類の特別なプレバイオティクスを大量に与えられた。

プレバイオティクスのサプリメントは薬局やスーパーでも売っているが、フレッシュナー教授によれば、サプリメントや薬物としてそれらを使うのは時期尚早である。腸内細菌の組成はもちろん人とラットで異なるし、個人差も大きいので、だれにでも有効とはいえないからだという。安全性も確認する必要がある。

研究チームではすでに、ヒトでの検証実験を開始しており、いつか不眠の人が彼らの作った新しいサプリメントを使う日が来ることを信じている、とフレッシュナー教授は語っている。

出典は『サイエンティフィックレポート

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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