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2022-01-25

フレイルを減らすことで認知症を予防できる?

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高齢者のフレイル(虚弱)を減らすことは、認知症を予防する効果的な方策かもしれない、という大規模疫学研究の結果が、『神経学、神経外科学及び精神医学雑誌』に発表された。

研究チームは、遺伝的に認知症リスクの高い人でも、認知症の発症にはフレイルの有無が強く影響し、それは健康的な生活習慣によって予防可能であることを明らかにした。

カナダ・ダルハウジー大学などの研究チームは、英国バイオバンクから60歳以上の高齢者19万6千人のデータを用いて、認知症の遺伝的リスクとフレイル度を算出した。フレイル度は、加齢に関連した精神と身体の衰えの程度を表す概念であるフレイルを点数化したもので、高いほどフレイルが進行していることを意味する。これらのデータに、参加者の健康的な生活習慣を点数化したデータと認知症の進行に関するデータを合わせて、それらの相互関係を解析した。

「健康的な生活習慣が、認知症のリスクを下げるという科学的根拠が増加しています」と筆頭著者のデビッド・ワード博士は語っている。「私たちの研究は、それを一歩進めて、フレイルを減らすことで、たとえ認知症の遺伝的リスクが高い人でも、認知症の発症リスクを劇的に改善できることを示しました。フレイルは部分的に予防可能ですから、この発見は素晴らしいものです。本研究においては、健康的な生活習慣を実行することによって、実際に認知症を予防可能であることが示されました。」

英国バイオバンクの10年以上の調査期間中に、参加者の1,762人が認知症と診断された。認知症を発症した患者は、発症しなかった者に比べて、診断前にすでにフレイル度が高い傾向がみられた。

フレイルを予防もしくは低減することの重要性は、異なる遺伝的リスクで異なるフレイル度をもつ人々のデータを解析した時に、さらに明らかになった。遺伝的リスクは、当然ながら認知症の発症リスクを高めるものだが、フレイル度が低い者においては、遺伝的リスクに関係なく認知症の発症リスクが低い傾向がみられたという。

最も遺伝的リスクの高い者でも、フレイル度が最低なら認知症リスクは最低であり、逆にフレイル度が最高なら認知症リスクも最高だった。遺伝的リスクとフレイルが組み合わさると最悪であり、遺伝的リスクが最高でフレイル度も最高の者は、どちらも最低の者に比べて、認知症の発症リスクが6倍高かった。

全体として、フレイル度の高かった者の認知症リスクは、フレイル度の低かった者の2.5倍以上(268%)だった。

本研究は、認知症リスクを減らすための新たな道筋を明らかにするものだ。健康的な生活習慣をもつ参加者は認知症の発症が少なかったが、これは部分的にはフレイル度が低いためであった。

「認知症のリスクは、脳にさまざまな異常を引き起こす遺伝的、神経病理学的、ライフスタイル、および一般的な健康要因を反映しています」と主任研究者のケネス・ロックウッド教授は語っている。

「私たちの研究は、認知症へのフレイルの関与についての重要な一歩を踏み出したものといえるでしょう。フレイルは認知症リスクに影響をおよぼすユニークで修正可能な道筋をもっているようです。世界的に増加を続ける認知症を予防するために、フレイル予防の潜在的な利益について探求することはきわめて重要と考えられます。」

共同研究者のジャニス・ランソン博士は語っている。「今回の発見は極めてポジティブな意味合いを持っています。それはたとえ遺伝的リスクが高くても、認知症は決して避けられない運命ではないのだ、ということです。私たちはそれを避けるために有意義な行動をとることができます。フレイルを避けることは脳の健康維持に効果的な戦略であり、よく歩くこと、できるだけ長く独立して生活を営むことが、それを可能にしてくれるのです。」

出典は『神経学、神経外科学及び精神医学雑誌

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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