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2021-03-23

フレイルは複数システムの障害であり、複数システムへの同時介入が必要

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米国ジョンズホプキンズ大学の研究チームは、フレイル(虚弱)についての新理論とその治療法を発表した。

フレイルの診断基準は、(1)筋力の低下、(2)歩行速度の低下、(3)身体活動量の低下、(4)疲労感または倦怠感、(5)意図しない体重減少という主要な5つの兆候のうち3つ以上があることとされている。

「フレイルは、簡単にいうと『加齢により心身が老い衰えた状態』のことですが、それを科学的なレベルで定義することは困難な仕事でした」と筆頭研究者のラヴィ・ヴァラダン博士は述べている。

実は、フレイルとは、複数の主要な生理学的および生物学的システム間の同期が外れ、身体の障害に対して明らかに相互の連絡がうまくいかなくなった状態のことなのである、と博士ら研究チームは述べている。ここでいうシステムには、代謝系、筋骨格系、ストレス応答系が含まれる。これらの不調和が閾値を超えるまでになって、最終的には機能と回復力の消失につながるのである。

研究チームは、ひとつの実証例として、ある研究結果を挙げている。これはジョンズホプキンズ大学で、85歳から94歳のボランティアを対象に実施された2021年女性健康加齢研究IIと呼ばれるものである。

標準的な経口糖負荷試験(一定量のグルコース溶液を飲んで、その後の血糖値と血中インスリン値の推移を測定する試験)を実施したところ、参加者のうち、フレイルと診断された女性は、フレイルでない女性に比べて、より激しい反応が観察され、その後血糖値が平常値に戻るのにより長い時間を要したという。これはフレイルによって代謝系の機能が低下していることを意味している。

また、フレイルの女性においては、運動後の筋肉機能の回復に、より長い時間がかかるようになっていたことが、いくつかの分子指標の測定から明らかになった。これは筋骨格系の機能が低下していることを意味している。さらに、ストレス反応の指標であるコルチゾールの分泌も低下しており、ストレス応答系の機能も低下していることが示唆された。

代謝系、筋骨格系、ストレス応答系の各々のシステムは互いにフィードバックする仕組みになっている。いずれかのシステムに負荷がかかると、他のシステムにもドミノ効果によって負荷が及ぶ。そのため、身体全体の健康が損なわれ、加齢に伴う糖尿病や、心血管系疾患、がんなどの疾患につながりやすい状態になる、と考えられる。

フレイルは、複数のシステムが制御不全に陥り、相互の連絡がうまくいかなくなった状態であることから、研究チームは、運動療法のような複数のシステムに同時に働きかけるような介入方法によって、単一システムを標的にした薬物治療などに比べて、より大きな予防および治療効果を期待できるだろう、としている。

ヴァラダン博士らは、運動やそれ以外の介入方法によって、加齢に伴うフレイルの発現を抑えるための最良の方法を開発するべく研究を続けているという。

「フレイルについての理解を深めることで、もっと幸福に歳を重ねるための手助けができるようになります」とヴァラダン博士は述べている。

「システム間の相互作用とそれに及ぼす身体的フィットネスの影響についての基礎的な知見を積み重ねていくことで、フレイルだけでなく、健康維持の仕組みそのものをより深く理解することが期待できるでしょう」と主任研究者のひとりでジョンズホプキンズ大学教授のカレン・バンディーン=ロッシェ博士はコメントしている。

出典は『ネイチャー加齢

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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