公開日:2013-03-04
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鉄分が豊富な食事を摂ると、月経前症候群(PMS)になるリスクが30-40%低くなるようだ、という米国マサチューセッツ大学などの研究チームによる報告が『米国疫学雑誌』に発表された。
月経前症候群とは、排卵後から月経開始までの時期に現れる身体的・精神的不調の諸症状で、多くの女性が経験している。頭痛、下腹部の痛み、手足のむくみ、イライラ、不眠など様々な症状を含む。
研究者らは、月経前症候群を発症していなかった約3,000人の女性に、10年間にわたって3回の食物摂取頻度調査に答えてもらった。調査終了時には、全体の約3分の1の女性が月経前症候群を発症していた。 月経前症候群を発症したグループとそうでないグループの間で、各種ミネラルの摂取量を比較したところ、非ヘム鉄(植物性食品やサプリメントに多く含まれる鉄分)を多く(1日20mg以上)摂取した女性は、少なく摂取した女性よりも月経前症候群の発症リスクが30-40%低かったという。現在我が国の食事摂取基準では、18-29歳の女性の鉄の摂取量の推奨量は10.5 mg/日であり、米国でも18 mgなので、かなり多く摂取していることになる。 |
さらに、亜鉛を多く(1日15mg以上)摂取した女性も、月経前症候群の発症リスクが低かった。これも日本の推奨量は9 mgなのでかなり多めである。一方、カリウムを多く摂取した女性は発症リスクが高いという、予想外の結果も得られた。
その他のミネラル(マグネシウム、銅、ナトリウム、マンガン)については、摂取量と発症リスクの関連は見られなかった。また、ミネラルを食事から摂取した場合とサプリメントで摂取した場合では、結果に差は見られなかったという。
今回の結果について、研究者らは、鉄が神経伝達物質セロトニンの合成に関わっていることから、月経前症候群に影響する可能性を指摘している。またカリウムについては、体液バランスの調整に関わっていることから、手足のむくみや腹部膨満を引き起こしている可能性がある。 「今後結果のさらなる検証が必要とはいえ、月経前症候群のリスクがある女性は、鉄と亜鉛の摂取量が推奨所要量に達しているかどうかを確認した方が良さそうだ。ただし、鉄(上限量40 mg)や亜鉛(上限量35 mg)の過剰摂取は体に有害になる可能性もあることから、医師の指示がない限りは、許容摂取量の範囲に留めるべきだ」と研究者らはコメントしている。 |
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