ストレスは免疫機能のバランスを崩し、アレルギーの発症に関連があるとされています。クロレラは食経験が豊富な健康食品であり、高脂血症、高血圧、糖尿病へ有用であることが報告されています。しかし、ストレスによる免疫機能の変化に対する有効性に関しては、報告例はあまりありませんでした。今回我々は、強制遊泳によってストレスを負荷したマウスに対するクロレラの作用について検討し、抗疲労作用および免疫調節作用を確認しましたのでご報告いたします。
- 研究目的
- 運動ストレス負荷マウスにおける、クロレラの抗疲労及び免疫調節作用を確認するための試験を実施しました。
- 実験方法
- マウスを、遊泳させずに基礎飼料を供与した群(対照群)、遊泳させて基礎飼料を供与した群(遊泳対照群)、遊泳させてクロレラを0.5%混餌した飼料を供与した群(クロレラ群)の3群に分け試験を実施しました。遊泳は試験開始後0、4、7、10及び14日目にマウスが疲労困憊になるまで実施し、遊泳時間を測定しました。また、試験開始後 14日目の強制遊泳終了直後に全例より脾臓を摘出し、脾細胞を Concanavaline A存在下で48時間培養後、培養上清中のサイトカイン 22種をマルチプレックスビーズアレイにて測定しました。
- 結 果
- 1.遊泳時間に対する影響(Fig 1)
- 遊泳対照群と比較して、クロレラ飲用群では試験最終日に遊泳時間が約2倍長くなりました。このことから、クロレラ飲用によるエネルギー利用の効率化が示唆され、結果として抗疲労効果が認められました。
- 2.脾細胞培養上清中サイトカイン(Fig 2)
- 対照群と比較して遊泳対照群は、IFN-γ、MIP-1α、GMCSF、RANTES、IP-10、IL-2、IL-6、IL-13、IL-17及びTNF-αのいずれにおいても有意に低値を、IL-4、IL-7、IL-10及びIL-15で有意に高値を示しました。これに対して、クロレラ群は遊泳対照群と比較してIFN-γ、MIP-1α、GMCSF、IP-10、IL-2、及びTNF-αにおいて有意に高値を示し、IL-4、IL-7、IL-10及びIL-15ではほぼ同様の値を示しました。
- また、Th1/Th2 バランスの指標として IFN-γ/IL-4 値を算出したところ、対照群と比較して遊泳対照群は有意に低値を示し、これに対し、クロレラ群は遊泳対照群と比較して有意に高値を示しました。
- したがって、遊泳負荷により分泌が減少するIFN-γ、IL-2 などのTh1 関連サイトカインおよびMIP-1α、GMCSF、IP-10 などの顆粒球刺激因子は、クロレラ摂取によってその減少が抑制されること、さらに Th1/Th2 バランスの変動を抑制することが確認できました。
- 以上の結果から強制遊泳ストレスに対するクロレラの抗疲労効果・免疫調節作用が示唆されました。