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健康素材の研究レポート 一覧

サン・クロレラ研究開発部が健康素材の試験や分析した結果を報告しています。

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【学術情報】

2023年11月(株)サン・クロレラ研究開発部

エゾウコギによる毛細血管の機能改善作用 学術誌「応用薬理(Pharmacometrics) Vol.105」に掲載

応用薬理(Pharmacometrics), Vol.105, 43‐48 (2023) に掲載

研究目的
ヒトの体内の血管の約95%は毛細血管が占めており、毛細血管によって全身の組織の細部に酸素や栄養素が供給され、組織で不要となった二酸化炭素や老廃物が回収されています。毛細血管は加齢により徐々に減少することが知られており、組織や臓器の機能低下と密接に関連しており、毛細血管の維持が抗老化において非常に重要であることが分かってきています。例えば、肌のシワ等も毛細血管の機能低下による皮膚老化と言えます。またアルツハイマー病患者の脳では健常者と比較して毛細血管が減少していることが分かってきました。エゾウコギは、中国の約2000年前の本草書「神農本草経」にも収載されている生薬ですが、近年の研究から抗疲労作用、睡眠改善作用、自律神経機能調節作用などを有することが報告され、機能性食品として広く利用されています。本研究では、エゾウコギの毛細血管やリンパ管の安定化に及ぼす影響について、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて、血管やリンパ管の内皮細胞に発現し、その構造安定化に関与する受容体型チロシンキナーゼ(Tie2)の活性化を指標に検討しました。
試験方法
培養したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)にエゾウコギ根エキスを0.01、0.1、1.0、10、100μg/mLの濃度で添加し細胞増殖に対する影響を調べ、さらに0.1、1.0、10、100 μg/mLの添加濃度においてTie2受容体の活性化を調べました。Tie2受容体活性化を測定する際は、血管細胞で産生されTie2受容体に結合して活性化するタンパク質のアンジオポエチン-1(添加濃度0.5 μg/mL)を陽性対照として比較しました。
 結   果
ヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖に対して、エゾウコギ根エキスは5 段階すべての添加濃度でエゾウコギを添加していない対照群(Control)と比較して内皮細胞の増殖を有意に亢進しました(図1)。また、Tie2 受容体の活性化については、1.0 および10 μg/mL の添加濃度で対照群と比較して有意な活性化が認められました。陽性対照として用いたアンジオポエチン-1 との比較では、エゾウコギ根エキス1.0 μg/mL 添加によりアンジオポエチン-1 とほぼ同等の活性化率でした(図2)。
以上の結果から、エゾウコギの摂取によって、毛細血管やリンパ管の構造を安定化させ、加齢等による毛細血管の減少( 「ゴースト血管」とも呼ばれます)を予防し、機能を正常化する可能性が示されました。

 

 詳   細 

掲 載 誌:
応用薬理(Pharmacometrics), Vol.105, 43‐48 (2023)
タイトル:
Activation by Acanthopanax senticosus of Vascular Endothelium‐Specific Receptor Tyrosine Kinase Tie2 in Human Umbilical Vein Endothelial Cells (HUVECs)
著  者:
Kazutaka Atobe1), Yoshihisa Kato1), Hideo Takekoshi2), Shizuo Yamada3)
所  属:
1) Kagawa School of Pharmaceutical Sciences, Tokushima Bunri University, 2) Sun Chlorella Corp., 3) Center for Pharma‐Food Research, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, University of Shizuoka

PDF版 456KB

※この情報は、学術雑誌や学会において発表された内容の掲載であり、商品の販売促進を目的とするものではありません。

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