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公開日:2023-11-27

2型糖尿病の患者にも間欠断食は安全で効果的

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時間制限ダイエット、あるいは間欠断食とよばれる食事法は、2型糖尿病患者が体重を減らし血糖値をコントロールするための有効な方法であるようだ、という米国イリノイ大学シカゴ校の研究成果が発表された。

参加者は、6か月間にわたり、毎日正午から夜8時までの8時間に限って食事を摂る、いわゆる「間欠断食」を実行することで、一般的なカロリー制限ダイエット(1日の総摂取カロリーを通常より25%減らす)に比べて、より多く減量することが可能であったという。過去3か月間の平均血糖値を反映する血中ヘモグロビンA1cの値については、どちらのダイエットでも同様の低下がみられた。

研究者らは、2型糖尿病患者75名をランダムに3群に振り分け、(1)間欠断食群、(2)カロリー制限ダイエット群、(3)対照群とした。参加者は、体重、腹囲、血糖値やその他の健康指標を6か月の試験期間中、定期的に測定された。

時間制限ダイエット(間欠断食)群の参加者のほうが、カロリー制限ダイエット群よりも、実施が容易で脱落者が少なかったのです」と主任研究者のクリスタ・ヴァラディ教授は述べている。その理由の一部として、糖尿病患者の多くが、食事のカロリー制限をすでに医師から指導されており、好き放題食べられないのがいかに辛いかを身に染みて知っていたであろうことを挙げている。それに対して、時間制限ダイエットでは、食事の時間が制限されるだけで、なんでも好きなだけ食べられるのである。

「私たちの研究で、間欠断食が、伝統的なカロリー制限ダイエットに挫折したり、燃え尽き症候群に陥ってしまった糖尿病患者に対して、より効果的な代替法であることが示唆されました」とヴァラディ教授は言う。「体重を減らそうとしている多くの人々にとっては、時間を決めて断食するほうが、カロリーを計算するより、はるかに簡単なのです。」

6か月の実施期間中に深刻な副作用はひとつも報告されなかった。低血糖および高血糖の報告は、両群とも対照群と同じレベルだった。

現在米国人の10人に1人が糖尿病であると言われている。この傾向がそのまま続くなら2050年には3人に1人が糖尿病と診断されることになるだろう。したがって、患者が体重や血糖値をコントロールするための選択肢は多いほうが好ましいと考えられる。

今回の研究では、参加者の半数が黒人であり、40%がヒスパニックだった。これらの人々においてとりわけ糖尿病患者が多いことを考えると、彼らを対象に時間制限ダイエットの有効性を証明した今回のような研究はとりわけ有益だろう、と研究者らは述べている。

もっとも、ヴァラディ教授は、今回の研究が少人数の試験結果に過ぎず、さらに多くの人々を対象にした試験が必要である、と述べている。また今回の研究で、2型糖尿病患者にも時間制限ダイエットが安全に実施しうることは原理的には証明されたが、現在のところ患者は、この種のダイエットを実施する前には医師に相談するべきだろう、と教授は述べている。

出典は『JAMA Network Open

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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