公開日:2015-10-27
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各年齢に応じた適正な栄養摂取によって骨の健康を維持することが、障害のない自立した老後を送るための鍵である、という骨と栄養の専門研究者による科学的レビューが、10月20日の世界骨粗鬆症デーに合せて発表された。
このレビューは、骨の健康的な発達と維持の観点から最新の科学的根拠(エビデンス)を要約したもので、妊婦、乳幼児、思春期、成人そして高齢者に分けて、各々の世代における適正な栄養摂取のあり方が述べられている。とりわけ重要なのはカルシウム、ビタミンDそしてたんぱく質であり、それ以外の栄養素も含めた全般にわたる適正な栄養摂取が、いかに骨の健康状態を良好に保ってくれるかを明らかにしている。
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著者の一人で国際骨粗鬆症財団の科学アドバイザー委員長のサイラス・クーパー教授は次のようにコメントしている。「この新しい報告書が示しているのは、我々の生涯を通じた栄養摂取がいかに骨の健康維持にとって重要かということである。実際に、栄養は誕生する前から我々の骨の健康的な発達において鍵となる役割を担っている。妊婦の健康的な食事と血中ビタミンD濃度の維持は、胎児の骨量を高めることができる。」
レビューではまた、貧しい食事と栄養欠乏をもたらすような生活習慣の傾向が、すべての年齢層において人々に骨の健康問題を起こす原因になっていることを指摘している。たとえば、牛乳や乳製品は多くの子どもの主要なカルシウム源である。ところがこの何十年かの間に、世界中の牛乳消費量は低下している。若者の間のビタミンD不足も深刻であるという。乳幼児へのビタミンDサプリメントの摂取を推奨している国もあるようだ。日本でもカルシウムの不足は依然として問題になっている。
成人、高齢者においても、カルシウムの摂取量は食事ガイドラインを満たしていない。同様にビタミンDの血中濃度が危険なほどに低い高齢者の多いことが世界中のさまざまな集団において指摘されている。食事以外の生活習慣では、過剰なアルコール摂取や喫煙、肥満、痩せなどが人々の骨折リスクを実質的に高めていることが指摘されている。 高齢者の転倒と骨折の予防にも栄養が重要であるという。世界中で高齢者の割合が急増しており、また骨粗鬆症の影響を最も受けやすいのが高齢者である。高齢者では特にたんぱく質の不足と栄養不良が一般的であり、それが骨と筋肉の健康を損ないがちなものにする。適度の運動と充分な栄養摂取の組み合わせによって、薬物治療の効果を補うことが重要であるという。 |
「ベビーブーマー世代が高齢化し、その結果世界中で加齢関連の筋骨格系疾患が医療費を押し上げる要因のひとつになってきている。この報告書は、骨粗鬆症と骨折予防のための、年齢に配慮した系統的なアプローチの枠組みにおける健康的な栄養摂取の潜在的可能性を明らかにするものだ」と著者の一人であるベス・ドウソン・ヒューズ教授はコメントしている。
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