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公開日:2020-06-26

血清コレステロール値、アジアで上昇、西欧諸国では低下

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血清コレステロール値は、西欧諸国では急速に低下しているが、貧しい国々、特にアジアで上昇していることが、過去最大のコレステロール研究によって明らかになった。

この研究は、英国インペリアルカレッジロンドンが主導し、世界中から数百人の研究者が参加して実施されたもので、『ネイチャー』誌に発表された。

研究チームは、1億260万人のデータを用いて1980年から2018年まで約40年間におよぶ世界200カ国の平均血清コレステロール値の推移を検証した。そして、高コレステロールが、世界で約390万人の死亡原因となっていること、その半数がアジアで起きていることを発見したという。

コレステロールは血液を含めて身体全体に存在する脂溶性の物質であり、健康な細胞の構築には欠かせないが、過剰に存在すると問題を起こし易い。

コレステロールは、血中でさまざまな形態をもっており、大部分のコレステロール(非HDL-コレステロール)は、血管の目詰まりの原因になり、それは心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高めるので低く抑えることが望ましいとされる。だが、HDL-コレステロールは、血管の目詰まりを防ぐ作用があるため高い方が望ましい。

非HDL-コレステロールは、飽和脂肪やトランス脂肪をたくさん摂取すると上昇し、不飽和脂肪の摂取で低下する。スタチンのような薬剤も、非HDL-コレステロールを効果的に低下させる働きがある。

今回得られた結果によれば、総コレステロール(HDLと非HDLを足したもの)と非HDL-コレステロールは、豊かな国々、特に欧米諸国および豪州で、この数十年の間に急速に低下し、貧しい国々、とくに東アジアと東南アジアでは、急速に上昇している。たとえば、中国の非HDLレベルは1980年には世界最低だったが、40年の間に最高レベルに上昇した。

「史上初めて、西洋以外の国が非HDL-コレステロール値で上位を占めるようになりました。つまり、『飽和脂肪を減らそう』という私たち西洋人にはもうおなじみのスローガンを、それらの国々にも広め、さらに薬物治療のための医療システムを早急に確立しなければならないということです」と筆頭研究者のマジッド・エザッティ教授は述べている。

1980年にこの心血管疾患の重要な指標である非HDLが最も高かったのはベルギー、フィンランド、ノルウェイ、スイスなどの西欧諸国だったが、現在はトケラウ、マレーシア、フィリピン、タイなどアジア太平洋地域である。

エザッティ教授によれば、西欧諸国で非HDLが低下した理由のひとつはスタチンのような効果的な薬物治療が普及したためである。貧しい国々ではスタチンはまだあまり使われていないのである。

なお、研究チームは、国によってはデータが他の国に比較してかなり少ないので、将来的に結果の信頼性は変わる可能性があるとことわっている。

出典は『ネイチャー

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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