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公開日:2022-09-26

落ち込むことが多いのは超加工食品の摂り過ぎかも

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もしあなたが甘い飲み物やスナック菓子を大好きなら、メンタルヘルスへの悪影響を心配したほうが良いかもしれない、という米国フロリダアトランティック大学からの研究結果が発表された。

超加工食品は、安くて便利なものが多いが、工業的に製造された食品には、元の食材にはほとんど含まれない油脂、糖類、デンプン、精製たんぱく質といった様々な成分が大量に添加されている。着香料、着色料、懸濁剤などの食品添加物もたくさん含まれている。そして、物理的、生物的、化学的な製造工程によって、元の食材に含まれていた天然成分の多くが壊れて失われている可能性がある。

既に、超加工食品の摂取とうつ病の関連を示唆する研究がいくつも報告されているが、不安や気分の落ち込みといったその他のメンタルヘルスに関する報告はあまりなかったという。

今回、研究チームは、米国の国民健康・栄養調査(NHANES)から18歳以上の10,359人のデータを解析して、超加工食品を大量に食べる人が、抑うつ、不安、気分の落ち込みなどを含むメンタルヘルスの種々の問題を多く抱えやすいことを発見した。

超加工食品を最も多く食べる人々は、最も少なかった人々と比べて、メンタルヘルス上の有害事象(軽度うつ病、気分の落ち込み、不安感)が統計的に有意に多いことが示された。さらに、超加工食品を最も多く食べる人々には、気分が落ち込まないあるいは不安感が全くない、と報告する人が、やはり統計的にきわめて少なかった。

この結果は、米国だけでなく、超加工食品が同じように普及している西洋諸国にも当てはまるだろう、と研究チームはみている。

「超加工食品は、栄養が欠けカロリーだけがやたらに高いものが多いのです。それは大量の砂糖や飽和脂肪、塩分が使われており、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカル(植物性機能成分)に乏しいのです」と責任著者のエリック・ヘックト博士は語っている。「米国で販売されるパッケージ食品の70%以上が超加工食品に分類され、米国人の摂取するカロリー全体の60%を占めています。このように大量の超加工食品が消費されていることを考えれば、私たちの研究結果が、重大な公衆衛生上の意義をもつのは明白です。」

研究チームは、今回の研究において、NOVA(ノバ)食品分類システムを使用している。これは広く使われているもので、国連のFAOも最近これを採用した。NOVAは、食品の加工度に注目して食品を4つのカテゴリに分類する。すなわち、(1)非加工または最小加工食品、(2)加工調味料、(3)加工食品、(4)超加工食品である。

「本研究のデータは、超加工食品が私たちのメンタルヘルスに悪影響を及ぼすという科学的根拠に重要な情報を追加するものです」と共著者のチャールズ・ヘンネケンス教授は語っている。「この記述疫学的研究から導かれる多くの仮説を検証するための分析疫学的研究が必要です。」

米国・国立精神衛生研究所によると、米国成人の 5 人に 1 人近くが、疾病、障害、死亡の原因となる、うつ病や不安神経症などの精神疾患を抱えているという。

 

出典は『公衆衛生栄養

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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