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公開日:2021-01-29

若者たちのメンタルヘルスを改善する三本の柱

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良質の睡眠、運動、そして生の果物と野菜の摂取という「三本柱」が、20代の若者のより良いメンタルヘルス(精神的健康)と幸福感に極めて重要であることが、ニュージーランド・オタゴ大学の研究で明らかにされた。

この『心理学の最前線』誌に発表された研究において、研究チームは、ニュージーランドと米国の1,111名の若年成人(18-25歳、28.4%が男性)を対象に睡眠、運動、食事についてオンラインで調査した。

筆頭研究者のシャイルビー・ウィッカムは、本研究において、メンタルヘルスと幸福感には、睡眠時間の長さよりも、睡眠の質が、より重要であることがわかった、と話している。

「これは驚きでした。なぜなら従来の睡眠ガイドラインでは、睡眠の質よりも時間に焦点が当てられていたからです。確かにわたしたちも、睡眠時間は、8時間未満でも、12時間以上でも、抑うつ傾向が高まり幸福感が低下することを見つけましたが、それ以上に睡眠の質というものが、強くメンタルヘルスと幸福感に関わっていることがわかりました。」

「これは、若い人々のメンタルヘルスと幸福感を改善する上では、睡眠の質が、睡眠時間と同じように強調されなければならないことを示唆しています」とウィッカムは話している。

睡眠とならんで、運動することと、生の果物と野菜を摂ることも、この順番で、若年成人のより良いメンタルヘルスと幸福感の改善に重要であるという。ただ、睡眠ほど影響を強いものではなかった。

抑うつ的な症状は、毎晩平均9.7時間眠っている人で最も少なく、幸福感は、8時間眠っている人で最も多かった。

また、幸福感は、1日当たり、4.8皿(※)分の生の果物と野菜を摂取している人で最も高く、逆に1日2皿未満や8皿以上の人では低かった。

睡眠も、果物と野菜の摂取も、多過ぎても少な過ぎても良くないようである。運動にはそのような効果はみられなかった。

「睡眠、身体活動、そして健康的な食生活は、健康維持の三本柱と考えることができます。それは元来、精神疾患が多発し幸福感があまり高くない若年世代において、最適な幸福感を促進することに寄与するのです」とウィッカムは話している。

主任研究者のタムリン・コナー准教授は、これまでの研究の大部分が、これら3つの健康行動をばらばらに検証してきた、と話している。「私たちは、どの若年成人が活力に満ちているのか、それとも苦しんでいるのかを予測するためには、これらの行動がすべて重要であることを示しました。」

ただし、コナー准教授は、本研究の知見が見掛け上の関連を示しているに過ぎないことも強調している。

「私たちは、若者たちの睡眠、運動、食事などを変更させて、それがメンタルヘルスや幸福感に影響するかどうかを調べたわけではないのです。他の研究では、行動を変化させることでポジティブな効果を生み出すとしたものもあります。私たちの研究から言えるのは、睡眠、運動、果物と野菜の摂取を3つ併せて優先させる総合的な健康介入が、有望な介入方法になるだろうということです。」

※ニュージーランドにおける標準的な1皿分の例
生の果物1皿:リンゴ・洋梨・オレンジなら1個、アンズ・プラムなら2個
生野菜1皿:サラダ1/2カップ(1カップ=250ml)

出典は『心理学の最前線

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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