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公開日:2022-11-25

筋肉量を維持する役にたつ食後の「運動スナック」

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座り続けるのを30分ごとに止めて行うちょっとした運動(「運動スナック」)が、筋肉の量と質を維持する助けになりそうだ、というカナダ・トロント大学からの研究報告。

ダニエル・ムーア准教授らの研究チームは、短時間の軽い運動、たとえば2分間の中強度ウォーキングや、連続15回のスクワット(膝の屈伸)によって、体内のアミノ酸代謝が良くなり、筋肉たんぱく質を構築する助けになることを発見した。

研究結果は、『応用生理学雑誌』に発表された。

「私たちは、座ったままの姿勢を長時間続けることが、食後の血糖値のコントロールに不具合を及ぼすことを知っています」とムーア准教授は述べている。「けれども、座るのを中断して、2分間のウォーキングや15回のスクワットといった、ちょっとした運動をすることで、食事から吸収された糖分を速やかに代謝することができます。」

これと同じように、多くの職場でみられる長時間にわたる座位での仕事を、短時間の運動で定期的に中断することで、筋肉の代謝も良くなるのではないか、と研究チームは考えた。筋肉はたんぱく質でできており、たんぱく質はアミノ酸でできている。筋肉の代謝が良くなれば、アミノ酸の代謝も高まり、傷ついたたんぱく質を修復し古くなったたんぱく質を置換する効率も高まるだろう。

「これは、身体が筋肉の量と質を維持するうえで極めて重要なことです」とムーア准教授は言う。

研究チームは、12名の参加者(男性7名、女性5名)を対象に、1回に7.5時間ずつ3回、それぞれ条件を変えて座り続けたときのアミノ酸代謝を測定した。1回はなにもせずに座り続けたが、残りの2回は、30分ごとに立ち上がって、短いウォーキングまたはスクワットをやってもらったのである。

その結果、ウォーキングまたはスクワットをすることによって、食事から吸収されたアミノ酸の代謝効率が高まり、より多くの筋肉たんぱく質が合成され、筋肉の修復と置換のプロセスが促進されることが明らかになった。

「これは極めて重要な知見です。筋肉がほとんど活動しないとき、つまり座っているとき、ギブスで手足が固定されているとき、あるいは眠っているときなどですが、そのようなときは、筋肉がだんだん減少していくからです。食事中のたんぱく質(分解されてアミノ酸になる)の吸収も悪くなり新しくたんぱく質を作る能力も低下していきます」とムーア准教授は述べている。

「私たちの結果は、短時間の運動スナックで長時間の座りっぱなしを中断することの重要性を明らかにするものです。私たちは、この結果が、食事を摂った後に動くことで栄養が改善され、たんぱく質が少ない食事からでも、より多くのアミノ酸を効率的に吸収することができるようになることを示唆するものだと信じています。」

出典は『応用生理学雑誌

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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