公開日:2018-06-26
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1日の睡眠時間が8時間未満の人は、思考が妨げられたり、堂々巡りを繰り返したりといった、抑うつや不安傾向の人にしばしばみられる状態になりがちだ、という米国ビンガムトン大学の研究結果が発表された。
メレディス・コールス率いる研究チームは、ネガティブな思考を繰り返す状態に陥っている、さまざま睡眠習慣を持つ52名の成人を対象に、彼らの眼球運動をモニターしながら、感情を刺激される種々の画像を見せた。睡眠習慣については、自己申告とインタビューによって調査した。
データ解析の結果、睡眠中にしばしば目を覚ます眠りの浅いタイプの人は、安眠タイプの人に比べて、ネガティブな感情を呼び起こす画像を中立的な画像よりも長く見つめる傾向のあることが明らかになった。彼らにはまた、中立的な画像に比べて、ネガティブな画像から注意を逸らすことができにくい傾向もあったという。つまり、不十分な睡眠の原因として、干渉的なネガティブ思考に繰り返し悩まされるということがあるのではないかと研究チームは考察している。 |
「私たちは、本研究の対象者たちが、各々の思考に捕われ易い傾向をもっており、否定的な考えに捕われ始めるとそこから離れることができなくなってしまう傾向をもっていることを発見しました」とコールス教授は語っている。「他の人々はネガティブな情報を受け取ってもそれを受け流すことができるのに、対象者たちにはそれができなかったのです。」
「そのようなネガティブ思考は、人々を不安や抑うつのようなさまざまな精神疾患に罹りやすくすると考えられています」とコールス教授は語っている。「特に、時間をかけてその深刻度は増加するのです。反復的なネガティブ思考が、不安や抑うつのような種々の疾患に関連するのであれば、その重要性はより高まります。これらの知見は、睡眠の中断と、強迫的なネガティブ思考を無視する思考処理過程の関係について検討している研究者にとって新奇なものだったのです。」
研究チームは、今後さらにこの発見を追求し、睡眠のタイミングと長さが、種々の精神疾患の発症や継続性に関与していることを明らかにしていきたいと考えている。もし彼らの研究の正しいことが証明されれば、精神科医が不安や抑うつの治療のために、患者の睡眠サイクルへの介入を行う助けになるだろう。 なお、本研究の限界として、それが断面的な調査結果に基づくものであり、睡眠と注意力の間に因果的な関連を示すものではない、と研究チームは述べている。また、健康な人々との比較を行っていないので、睡眠習慣と注意力、感情的反応性が、ネガティブな思考に捕われ易い人に特別な現象ではない可能性もあるとしている。 |
今回の研究結果は、睡眠の中断が、感情的にネガティブな思考を速やかに断ち切るための認知機能に特殊な影響を及ぼすことを示唆している、と研究チームは結論づけている。
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