公開日:2014-10-16
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充分に眠っていない高校生は、授業中の居眠りが増えるだけでなく、体重も増えていくようだ。睡眠時間が16歳の時に1日6時間以下だった者は、8時間以上だった者に比べて、21歳の時に肥満になっているリスクが20%高かった。
『小児科学雑誌』に発表された、米国コロンビア大学とノースカロライナ大学による本研究は、十代の寝不足が体重にどう影響するかを調べた初めての研究であり、睡眠不足がBMIの上昇をもたらすという強力な証拠であるという。ちなみに、全米疾病管理予防センターでは、十代の子供に9-10時間の睡眠を推奨している。
シャキラ・サグリア准教授らの研究チームは、米国の若者を対象にした大規模疫学研究である「国民思春期保健縦断研究」の参加者から1万人以上のデータを分析した。 |
16歳と21歳の時の身長、体重、そして睡眠時間が調査された。睡眠時間は、6時間未満、6-8時間、8時間以上に分類した。肥満の判定は、16歳についてはBMIが全体の上位5%に含まれる者とし、21歳についてはBMIが30以上の者とした(日本ではBMI25以上)。
分析の結果、16歳の時点で全体の約5分の1の者が1日6時間以下しか眠っていなかったが、彼らは21歳になったときに肥満になっているリスクが、1日8時間以上眠っていた者と比べて20%高かったという。おそらく身体活動の欠如やテレビ視聴時間の長さがその原因ではないかというが、はっきりした理由はわかっていない。
16歳の段階で、既に睡眠不足の男子には肥満傾向があったが女子にはなかった。そのため研究チームは寝不足の影響には男女差があるかもしれないと考えたが、5年後(今回)には特に男女の違いはなくなっていたという。
「十代の睡眠不足は将来の肥満につながる可能性があります」とサグリア氏は語っている。「一度肥満になってしまうと、体重を減らすのは容易なことではありません。しかも肥満の状態が長引けば長引くほど心臓病や糖尿病、がんなどのリスクが高まっていくのです。」
「両親や保護者の方は、お子さんが8時間以上の夜間睡眠を心がけるように注意してあげてください」とサグリア氏は忠告している。「夜間の安眠は単に授業中に眠らずにいるためだけのものではありません。充分な睡眠は健康な大人に成長していくために必要なことなのです。」 昼間の眠気と疲労は、食欲を変化させ人々の食事の仕方にも影響を及ぼすことが知られている。睡眠不足のときは、きちんとした栄養のある食事を作らず、つい手軽に手に入るカロリーの高いファストフードですませることも多いと思われる。今回の調査では、参加者が実際にどのような食事をしていたかは調べていないため不明だが、人が太っていくときに食事が重要な役割を担っているのは明白だろう。 |
今後の研究においては、例えば炭酸飲料の摂取量やファストフードの摂取頻度、量などが睡眠時間および肥満との関連において調査されることが期待されるということである。実際にサグリア氏は2013年の研究で、ソーダ消費量の多い子どもでは問題行動のリスクが高まることを報告しているという。
適正な睡眠時間をとらせるように指導することは、若者の体重をむやみに増やさないための効果的な介入法になるかもしれない、と研究チームはコメントしている。
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