公開日:2020-03-30
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夕食ではなく朝食にたくさんのカロリーを摂取することで肥満、高血糖を予防できるかもしれない、という独リューベック大学の研究結果が『臨床内分泌学・代謝雑誌』に報告された。
我々の身体は、食物を栄養素に分解(消化)して消化管から吸収し、それを身体中の細胞に送り届けるとともに余った分を貯蔵するが、そのために必要なエネルギーを燃焼して熱を発生する。このプロセスのことを一般に「食事誘発性熱産生(DIT)」と呼ぶ。
食事をすると汗をかいたり身体がほてってくるのは、このDITのためである。消化する栄養素によって熱産生の量は異なるが、平均すると摂取カロリーの10%がDITになるといわれる。 |
DITは、食事をする時間によっても異なるといわれているが、同じものを朝食と夕食で摂ったときに、DITにどれくらいの違いがでるのかは、はっきりとはわかっていなかったという。また、低カロリーの食事を摂ったときにも、高カロリーの食事を摂ったときと同じように違いがでるのかどうかも不明であったという。
そこで今回研究チームは、朝食と夕食によってDITがどれくらい変化するか、またそれが低カロリーの食事を摂った場合でも高カロリーの食事の場合と同様に変化するかどうかを検証した。
研究では、16名の普通体重の男性が、3日間の食事実験に2回参加した。3日間の食事の内訳は、条件(1)では、低カロリーの朝食(1日に必要なカロリーの11%に相当する量)と高カロリーの夕食(1日に必要なカロリーの69%に相当する量)を摂り、条件(2)では、朝食を高カロリー、夕食を低カロリーとした。参加者は、両方の条件を、ランダムな順番で経験した。
DITは、カロリーメーターを用いて測定された。グルコース代謝に関する各指標は血液検査で測定された。空腹感の強さと、甘いものに対する食欲の強さについては、スケールをもちいた自己申告とした。
実験の結果、全くおなじカロリーの食事を摂っても、それを夕食に摂ったときに比べて、朝食に摂った場合には、DITが2.5倍高いことが明らかになった。これは、高カロリー食でも低カロリー食でも、同様に観察されたという。 食後高血糖と高インスリン血症は、朝食後には夕食後に比べるときわめて低かった。また、低カロリーの朝食は、1日を通じて空腹感を強め、特に甘いものに対する食欲を強める効果があったという。 「我々の結果が示しているのは、朝食として一晩の絶食後に食べられた食事は、まったく同じカロリーの夕食を食べたときに比べて、2倍以上高い食事誘発性熱産生を惹起したということです」と本研究の責任著者であるユリアーネ・リヒター博士は語っている。 |
「この知見は、全ての人々にとって、充分な朝食を食べることの意義を強調するものと言えるでしょう。栄養たっぷりの朝食を摂り、夕食を控えめにすることは、適正体重を維持してメタボリックシンドロームを予防するための極めて効果的な方法なのです。」
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