公開日:2024-04-30
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毒性の高い重金属に多く曝露した中年女性は、更年期に卵子の数が少ない傾向にあるようだ、という米国ミシガン大学の研究結果が発表された。
卵巣予備能の低下とは、同年齢の他の女性に比べて卵子の数が減少していることを指し、ほてり(ホットフラッシュ)や骨の弱さ、心臓病リスクの増加などの健康問題にリンクしている可能性がある。
今回の研究では、生殖可能年齢の女性の尿中の重金属と卵巣予備能の低下の関連が明らかになったという。ヒ素、カドミウム、水銀、鉛などの重金属は、飲料水中に一般的に含まれているだけでなく、大気汚染や食品汚染によっても体内に侵入し、内分泌かく乱物質の一種と考えられている。 |
閉経は、女性が経験する加齢の正常なプロセスの一部であり、毎月の月経が終了する。更年期には、女性は月経周期の変化、ほてり、寝汗などの症状を経験することが多い。更年期は多くの場合45歳から55歳の間に始まり、通常約7年間続く。
「有害な重金属への広範な曝露は、中年女性において、卵巣の早期老化に関連した、ほてり、骨密度減少や骨粗鬆症、心臓病リスクの上昇、認知機能の低下といった健康問題を引き起こす可能性があります」と主任研究者で米国ミシガン大学准教授のパク・サンキョン博士は語っている。
「私たちの研究は、重金属に曝露した中年女性は抗ミューラー管ホルモン(AMH)レベルが低下することを発見しました。AMHのレベルは、一言でいうなら女性の卵巣にどれだけの卵子が残っているかの指標になります。それは卵巣の生物時計の役割をもち、中年期以降の女性の健康リスクに気づかせてくれるヒントになるのです。」
研究チームは、全米女性健康研究(SWAN)に参加した更年期の中年女性549名について、尿中に含まれるヒ素、カドミウム、水銀、鉛などの重金属レベルと、最終月経の10年前から直前までの血中AMHレベルを比較した。 解析の結果、研究チームは、尿中の重金属レベルが最も高かった上位3分の1の女性は、最も低かった下位3分の1の女性と比べて、AMHレベルが低く卵巣予備能が低下していることを発見した。また、特にカドミウムと水銀への曝露増加が、加齢に伴うAMHレベル低下を加速したことも明らかになった。 ヒ素、カドミウム、水銀などの重金属は、最終月経に近づく女性の卵巣予備能を減少させることにより、卵巣毒性物質として作用する可能性があるようだ、と研究チームは結論付けている。 |
「ヒ素やカドミウムを含む金属には、内分泌かく乱作用があり、卵巣に潜在的な毒性を有しています」とパク准教授は語っている。「私たちは、卵巣予備能の低下や不妊症とこれらの金属の関係をより理解するためにさらに若い世代についても調べる必要があります。」
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